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医療 × 名作検証ブラック・ジャックを「今」読みとく

第24回座談会「おばあちゃん」1975年 初出

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ディスカッサー

禎心会脳疾患研究所 所長 上山 博康先生

上山 博康先生

禎心会脳疾患研究所 所長

長島整形外科 院長 長島 公之先生

長島 公之先生

長島整形外科 院長

長島先生:
上山先生は拠点が北海道ですし、超多忙でいらっしゃるので、対談は難しいかと考えておりましたが、お越しいただきありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
上山先生:
僕はこういう企画にはいくらでも協力します。マスコミやジャーナリストの、人に与える影響はとても大きいことを知っているから。僕が高校生の時に読んだ朝日ジャーナルの特集記事が私の人生を決めたんです。それは日本に脳外科医が足りないという記事だった。頭部外傷を負った記者の母親がまともな治療を受けられずに亡くなった無念さが描かれた記事に鬼気迫るものを感じました。僕は、脳外科医になろうと思った。
だから、僕の記事を読んだ方々が、僕の積み重ねてきた色々なことや僕の思いから何かを感じられればいいなと思うんです。
長島先生:
たしかに、ほんものの記事には説得力がありますね。今回の座談会記事もそうなれればいいと思います。
早速ですが本話「おばあちゃん」の主人公は、設定は息子に対するお母さんですね。なぜ「おかあさん」でなく「おばあちゃん」だと思われますか?
上山先生:
それは難しい話じゃない。見た目でしょう(笑)(図1)。息子さんにとっては「お母さん」、だけど読者はこのカットから「お母さん」は想像しないんじゃないかな。
図1
図1
長島先生:
そうですね。日本人の平均寿命は、本話掲載当時(昭和50年)に70歳を超えたところです。寿命が延びただけでなく、見た目も若返っていますよね。このおばあちゃんはおそらく60歳前後と思われますが、今の60歳とはまったく違いますね。
上山先生:
ですよね、だから本話は「おばあちゃん」でいいんです。
長島先生:
そのおばあちゃんですが、足が「つっぱったつっぱった」とあり(図2)、続くカットで「あたしゃリューマチだよ」と言っています。当時、整形外科領域では関節リウマチをはじめ、変形性膝関節症や下肢の神経痛など、関節の疼痛の類はひっくるめてリューマチでした。ここに関して何かお考えはありますか?
図2
図2
上山先生:
リューマチは診断のごみ箱でしたね。整形外科領域に限らず、リウマチ熱や全身性エリテマトーデス(SLE)といった自己免疫疾患もごちゃ混ぜでした。おばあちゃんの症状ですが、作者がどこまで把握していたのかは不明ですが、おばあちゃんはリューマチではないと思います。さらに言えば、「さわるなっ脳溢血だっ」というカットがありますが(図3)、脳溢血でもないですね。
長島先生:
詳しくご説明していただけますか?
図3
図3
  • ※ ゴミ箱診断:医学的根拠が不明な、あいまいな診断