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ジェニファー・ダウドナ:DNA編集が可能な時代、使い方は慎重に
Jennifer Doudna:How CRISPR lets us edit our DNA

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今月のプレゼン:概要とおすすめポイント

遺伝子操作技術はついに神の領域へ―。ジェニファー・ダウドナは数年前、同僚とともにDNAを編集する新しい技術「CRISPR-Cas9」を開発しました。この編集技術は、科学者が細胞内の特定のDNAを切断し、書き換えることができるというものです。それはまるで、ワープロで文書の打ち間違いを修正するかのように。どの遺伝子がどのような特性を高めるのか、といった遺伝情報に関する知識が得られるようになれば、この技術により遺伝性疾患の治癒や特定の疾患の予防、骨の強化といった身体機能強化、さらには目の色を変えたり背を高くしたりといったように私たちが希望する特性を得ることすら可能になるかもしれません。ゲノム操作を受けた人間はまだ存在しないものの、動物や植物はすでに存在しています。もはやSFだけの話ではないのです。
しかしこれは、重大な倫理的・社会的影響を及ぼし得る技術です。そこでダウドナ氏らはこの技術について世界規模の話し合いを呼び掛かけ、この技術がもたらす倫理的問題や社会的影響について検討する取り組みを始めています。
プレゼン術としての注目ポイントは、「プレゼンテーションの黄金比3:7に近づける」「相手に理解できるもっとも簡単な説明に時間を多く費やすべき」です。

「ワンポイントプレゼン術 ①」 プレゼンテーションの黄金比3:7に近づける

プレゼンテーションの時間すべてを自分の研究成果や訴えたいことなどに費やすべきではありません。そうしてしまうと、自己中心的な印象を与え、時には自慢話に聞こえてしまうし、相手が納得感を得られないことから途中で飽きてしまうのです。それでは、どのようにすれば良いのかというと、プレゼンテーションの前半で「合意形成」を行うのです。「合意形成」とは「なぜ、この話をしなければならないのか?」といった問いかけと、それに対する回答です。時間の目安は全体の3割。つまり前半の3割で「合意形成」を行い、残りの7割で本題を話します。これを「プレゼンテーションの黄金比3:7」といいます。実際に、ダウドナ氏は約15分のプレゼンテーションのうち3割を「実用化の前に検討を重ねるべきだ」という語りに費やしています。まさに黄金比の3:7です。もしチャンスがあれば、この法則に従って、「なぜこの話をするのか?」「なぜ私がするのか?」「なぜ今なのか?」などの話題を整理して展開すると良いでしょう。

「ワンポイントプレゼン術 ②」 相手に理解できるもっとも簡単な説明に時間を多く費やすべき

プレゼンテーションは相手に「基本的な仕組みを理解してもらうこと」からスタートすべきです。プレゼンテーションの流れから、「原理・理論」→「仮説」→「簡単な実験結果」→「複雑な実験結果」→「より複雑な実験結果」となるのは自然ですが、このとき、より複雑な実験結果について詳細に話そうとする傾向が高いのが事実です。なぜなら、複雑な実験には労力がかかっているからです。だから一生懸命説明したがるのです。しかし、実はそれは逆で、簡単な実験結果の説明に一番時間を使い、スライドなどによる解説も行うべきです。事実、ダウドナ氏のプレゼンテーションでは、DNAが切断できる仕組みという基本的な部分の説明に一番時間を使っています、そしてマウスの実験にも少し時間を使い、サルの実験に関してはほとんど説明をしていません。もちろん説明できない部分もあるのかもしれませんが、説明の重要性は、「原理・理論」と「簡単な部分」により多くの時間を割くべきなのです、そうすることで相手の理解が深まり、複雑な話に関して興味をもったままプレゼンテーションを進めることができるのです。

「使える英語フレーズ ①」 a big mouthful

日本語訳:
(単語がいっぱいあって)言いにくいですね
該当動画部分:
3分35秒

説明:

口語で使う軽い表現に便利です「big mouthful」とはおしゃべりな人という意味も含まれています。このプレゼンテーションでは、CRISPRは「clustered regularly interspaced short palindromic repeats」の略であり、非常に長い単語で言いにくい、と言いたいのですが、その際にlongやdifficult、hardといった単語ではなく、「big mouthful」と楽しく表現しています。プレゼンテーションでは、分かりやすくて、相手が聞いて笑みが浮かぶような単語を選ぶと良いでしょう。

「使える英語フレーズ ②」 potentially achieve astounding things

日本語訳:
潜在的に驚くべき力を秘めている
該当動画部分:
8分00秒

説明:

ダウドナ氏のプレゼンテーションのなかでもっとも印象的なフレーズです。実際に、彼女のプレゼンテーションを紹介する文にこの魅力的なフレーズを取り上げているものがあります。聞き慣れない「astounding」という単語がありますが、これは驚異的、考えられない、度肝を抜くような驚くべき、という形容詞の最上級の表現です。例えば、「astounding amount of」で驚くべき量、「astounding discovery」で驚くべき発見、といったように使います。それらを達成する、つまりachieveする秘めた力potentiallyということで、「potentially achieve astounding things」としています。難病など未知の病に立ち向かったとき、あるいは回復が見込めないにもかかわらず、驚くべき回復が達成できたときの表現としても便利です。日常会話では力強く伝える「marvelous」や、カジュアルな場面で使う「awesome」まで様々な表現方法がありますので参考にしてください。

プレゼン解説

西脇 資哲氏

西脇 資哲

日本マイクロソフト株式会社 エバンジェリスト
京都大学 iPS細胞研究所 コミュニケーションアドバイザー

マイクロソフトにて多くの製品・サービスを伝え広めるエバンジェリストとして勤務する傍ら年間250講演、という圧倒的実績を持つNo.1プレゼン講師として知られている。
企業・大学・省庁などでの講演や、著名人へのプレゼン指導を行う。
著書に「エバンジェリスト養成講座~究極のプレゼンハック100~」「プレゼンは「目線」で決まる」などがある。

著書