医療 × 仕事術仕事ツールBOX

サービス活用術

第15回:まだパワポやKeynoteでプレゼン?次世代プレゼンは『Prezi』で

外部リンク先はベーリンガーインゲルハイムが所有・管理するものではなく、ベーリンガーインゲルハイムはこれらのサイトの内容やサービスについて一切責任を負いません。

学会や院内での発表などの資料作成といえば、PowerPointやKeynoteをお使いの方多いと思いますが、Preziはご存知でしょうか?
プレゼンテーション用のソフトウェアといえばMicrosoftのPowerPointやAppleのKeynoteが有名ですが、”第3のプレゼンツール” とも言うべき新しいプレゼンテーション用アプリが「Prezi(プレジ)」です。世界で8500万人以上が利用していると言われ、海外では企業はもちろん学会でも広く活用されています。今回は、4月に新バージョンとなったばかりの最新のPrezi Nextの使い方から、実用的な応用テクニックまでを紹介します。

1. そもそもPreziって何?

「Prezi(プレジ)」は、ハンガリーのベンチャー企業Prezi Inc.が2009年に発表した新しいプレゼンツールです。
特徴はその動き。複数の絵を紙芝居(スライド)のように見せていくPowerPointに対して、Preziは1枚の大きな絵(キャンバス)の中を、カメラが自由自在に移動するように見せていきます。

インストールなしで無料で使い始めることができ、最初からセンスの良いテンプレートが揃っていることも特徴のひとつです。

特徴的である一方で、「できること」「できないこと」がはっきりしているのがPrezi。必ずしもPowerPointに取って代わるものではなく、PowerPointとうまく使い分けることで、プレゼンの効果を大きくすることができます。まずは、PowerPoint・Keynoteなどの従来型のプレゼンツールとの比較を見てみましょう。

  PowerPoint(Keynote) Prezi
① インスト―ル方法 個人のPCにインストールが必要 不要。Webブラウザ上で利用します
※オプションでインストール版もあり
② 使用料 有料 無料で使用可能
※プレゼンを非公開設定にするには有料プランにアップグレードが必要
③ コンテンツ テキスト・画像・動画・図形・グラフ テキスト・画像・動画・図形
※グラフ機能は有料プランのみ
④ 印刷 画面がそのまま配布資料になる 印刷には不向き。
プレゼンのスクリーン用と割り切った使い方が必要
⑤ 画面の動き 静か ダイナミック
⑥ 構成 複数の絵(スライド)を順番に見せる 1枚の大きな絵(キャンバス)の中をカメラが動くように視点移動して見せる
⑦ 得意な利用シーン
  • ・表やグラフなどを使った数値の変化を示してアピールしたいとき
  • ・静かで真面目な雰囲気のとき
  • ・全体像と細部、時間軸など、ロジカルな内容構成があるとき
  • ・動きで人の目をひきつけたいとき

上の①から⑥の各項目について、少し解説していきましょう。

1-①インストール方法

Preziはインストール不要。WebブラウザからIDをパスワードを入力してアクセスして使用する、Webアプリと呼ばれるタイプです。Facebookを思い浮かべていただくと近い感覚ですね。編集もプレゼンもすべてWebブラウザ上。また「ファイル」という概念がなく、制作したプレゼンはすべてクラウド上に保存されます。アクセスすると、「ダッシュボード」と呼ばれる次のような自分専用の領域が表示されるので、そこから作成したプレゼンを呼び出します。

1-②使用料 / 1-③コンテンツ

気になる使用料は、次の4種類。

プラン名 ベーシック Standard Plus Premium
使用料 無料 年間60ドル 年間180ドル 年間708ドル
プランの特徴 作ったプレゼンがすべて公開される プレゼンを非公開設定にできる インストール版が利用できる
グラフ機能利用可能
オフラインでもプレゼン可能
上級トレーニング・電話サポートが受けられる

基本機能だけなら無料で使えてしまいますが、無料のプランでは、つくったプレゼンがすべて公開されてしまうこと。Preziはもともと「世界中のみんなでプレゼンのアイディアをシェアしよう」という理念で作られているので、Preziプレゼンを検索できる仕組みがあります。ここの検索対象になってしまうということです。

お試しで使ってみる場合や、世界に向けて公開したい内容の場合は無料プランのままでOKですが、プレゼンの内容を他に見られないようにロックしておくためには、Standardプラン以上、プレゼンの実践的な機能を考えると、グラフ機能やオフラインでのプレゼンが可能になるPlusプランがおすすめです。

1-④印刷

Preziの最も大きなデメリットと言えるのがこちら。ダイナミックな動きをするからこそ、そのままの印刷には向きません。Preziの使用の事例では、Preziをスクリーン用と割り切って、印刷用はWordなどで別に制作するケースが多いです。

1-⑤画面の動き

PowerPointは画面の中の一部分で動画やアニメーションを動かすことはできますが、画面自体は固定されています。これに対してPreziは、画面全体を見せたり一部を切り取って見せたりするなど、ダイナミックな動きが可能です。

1-⑥構成

PowerPointが書籍のページを作るように1ページずつ横並びに作っていくのに対し、Preziは画面の中の世界をカメラが自由自在に動くかのように視点を移動させ、プレゼンの全体像→トピック→サブトピック、というように奥行きを作っていきます。

1-⑦得意な利用シーン

PowerPointは、どちらかと言えば真面目なシーンで、グラフや表などの数値的変化(効果)をしっかりと見せるプレゼンに向いています。対してPreziは、全体像と細部、時間経過による変化(効果)などをロジカルに見せたいとき、また、驚きや感動を与えたいプレゼンに向いています。

2. 効果的な活用方法

ではこのPreziをどのように使えば、より効果的なプレゼンができるのでしょうか? 見る人を惹きつけるPrezi活用テクニックをいくつかご紹介しましょう。

2-①全体から細部にズームインする

海外の医療系のプレゼンや学会発表でよく使われるテクニックが、Preziの[ズームエリア]という機能です。例えば、CTの全体像から部分に寄って解説したいときなどに利用できます。

また、薬剤などのプレゼンテーションの際に、画面上に表示義務のある説明書きや定型文面などがある場合、スライド1枚で読みやすいように大きな文字にして配置すると、窮屈で読みにくいスクリーンになってしまいます。そんな場合には、小さく配置して、そのあとで注意書き部分だけにズームすればスマートです。

ズームエリア機能は、単に細部を拡大するだけでなく、見せたい部分を回転させることも可能。アイディア次第でさまざまな視覚効果を生み出せます。

2-②相手に合わせてプレゼンの構成をその場で変える

これは海外のMRがしばしば使用するテクニックです。Preziでは、プレゼンの場でトピックの順序を自由に入れ替えて話をすることができます。
例えば相手との話をする中で、会社概要などの基礎情報は飛ばしていきなり製品の説明に入ったほうがよさそうだな、と感じるとき、あるいはまずは効果から話を始めたほうがよいと判断したときなど、予め決めていた話の順序を入れ替えたいときがあります。
このような場合にはプレゼンを始めるPreziの最初の画面(全体像)で、話したいトピックをクリックするだけ。ひとつのトピックの話が終わったら画面はまた最初の画面に戻るので、またそこで次のトピックをクリックしながら話を進めていきます。

必要のある話だけ、必要な順番で。地味なようですが、実際のプレゼンテーションのシーンでは非常に役に立つPreziの特徴です。

2-③表やグラフは外で作って貼り付ける

PowerPointでは、エクセルとの連動で表やグラフを入れ込むことが可能ですが、Preziでは、ベーシックやStandardのライセンスでは表やグラフをつくれません。でも、PowerPointなどで作成した表やグラフのスクリーンショットをとり、画像として挿入することが可能です。

3. Preziを使うには

Preziは基本的に非常にシンプルなアプリ。使い方も覚えやすいです。操作にはWebブラウザを使いますが、Google Chrome、Firefox 64 bit、Safari 10のいずれかをご使用ください。2017年9月現在は、これ以外のブラウザでは編集ができません。

3-①アカウントをつくる「サインアップ」

サインアップに必要なものは、ご自身のメールアドレス、または、Facebookをお使いの方はFacebookアカウントでもサインアップできます。
Webブラウザを起動して、
https://prezi.com/
にアクセスし、画面中央の[無料でPrezi Nextを試す]というボタンをクリックします。ここで、料金プランが表示になりますが、試しに無料で使ってみたい場合は「ベーシック」を選択しましょう。
※ベーシック以外の[無料トライアルを開始]を選ぶと、14日間だけの無料プランでその後は指定したプランの課金が始まってしまいますのでご注意を。

次の画面で名前とEメールアドレス、パスワードを入力したら、[無料Basicアカウントを作成]をクリックします。Facebookアカウントでサインアップしたい方は、ボタンの下の[またはFacebookからサインアップ]というリンクをクリックしてください。

3-②自分のプレゼンがならぶ「ダッシュボード」

サインアップが終了したら、このような画面が表示されます。先ほどのダッシュボードですね。

Preziでプレゼンを作るたびに、作ったものがここに並んでいきます。

3-③プレゼン制作は「テンプレート選択」から

ダッシュボード内の[新規プレゼン]ボタンをクリックすると、テンプレート選択の画面が出てきます。現在100種類近くがあり、無料プランでも有料プランと全く同じものを自由に使うことができます。どれでも好きなものをひとつ選んで、[このテンプレートを使用]をクリックしましょう。

これでPreziプレゼンの編集画面が表示されます。

まずは、選んだテンプレートがどんな構造になっているかを確認するために、画面右上にある[プレゼン]ボタンを押してみましょう。カーソルキー[→]や、画面下部のボタンを押すことでプレゼンを進めることができます。

このテンプレートを元にしてどの部分を書き換え、何を追加しようか、ということを最初に考えておくのがPreziをうまく組み立てていくコツです。編集画面に戻るには、キーボードの[Esc]キーを押しましょう。

3-④編集画面

Preziの編集画面はPowerPointとよく似ているので、普段からプレゼンを作る方ならすぐに理解できると思います。

Preziで独特なのが、左側のエリア。PowerPointのスライドに似ていますが、ここにメイントピック、サブトピックのサムネイルが表示されます。

このように、Preziでは、全体像→メイントピック→サブトピック→サブサブトピック→…と、説明が詳細になるにつれて画面がズームして奥へ奥へと進んでいくような構造になっています。論理構造と画面の動きがシンクロしていることが、見る人に直感的な理解のしやすさを提供し、またプレゼンへの没入感を与えるからくりです。

3-⑤トピックの追加と削除

メイントピック、サブトピックはプレゼンの内容にあわせて自由に追加・削除することができます。画面左下の[トピック]をクリックします。すると、[プラネット]と[積み重ね]という2つの選択肢が出てきます。

トピックの中で更に奥に掘り下げたいことがある場合は、[プラネット]を選びます。一方、それ以上奥に掘り下げないときは[積み重ね]を選びましょう。

3-⑥制作したPreziの保存

編集が完了したら、[ファイル]→[保存]をクリックします。(編集中もこまめに保存しておくことをおすすめします)
プレゼンをする場合は、画面右上の[プレゼン]ボタンを、ダッシュボードに戻る場合は、[ファイル]→[あなたのprezi]をクリックします。保存をしていれば、いつブラウザを閉じても大丈夫です。

以上、Preziの概要からテクニックまでを簡単にご紹介しました。
Preziはまだまだ使っている人も少ないツールですが、特徴を理解して使うことでプレゼンの効果や効率がぐっと上がるはずです。いままでのプレゼン制作とはちょっと視点を変えて、新しいプレゼンにトライしてみてはいかがでしょう。

※Preziは2017年4月より「Prezi Next」という最新バージョンになっており、本記事ではこのPrezi Nextについて書いています。2017年以前からアカウントを持っていたユーザーがもともと使用していたPreziは「Prezi Classic」と名称変更になっており、Prezi Nextとは別のアプリとなりますのでご注意ください。また、Prezi Nextは2017年9月現在、日本語フォントが1種類しか選べず、独特な形状のフォントのみしか使えない状態です。Prezi社によると、日本語フォントの充実も計画中とのことです。

4. おまけ:医療系おすすめテンプレート

とにかくすぐにPreziを使いたい!という方向けの、医療分野で使いやすいおすすめテンプレートはこの3種類です。
今回サンプルとしても使用した、医療イメージの背景が使われているもの

やわらかい色使いとイメージ写真で、医療シーンにフィットするもの

写真と動きの組み合わせが見栄えよく、ビジネスシーンで使いやすいもの

著者

吉藤 智広

吉藤 智広 Tomohiro YOSHIFUJI
プレゼンテーションデザイナー/Prezi Expert

2014年、日本人で初めてPrezi Expertの国際公式認定を取得。Prezi社公認のプレゼンテーションデザイナーとして、スタートアップピッチ/セールス/イベント/展示会/コンペなど、多様なプレゼンテーションデザインを手がける。企業・官公庁・大学において、プレゼンテーションデザインの講師としても活動。
著書に『Preziで極めるビジュアルプレゼンテーション』(日経BP社)。2018年、日経BP社より新刊書籍刊行予定。

ホームページ:https://re-presentation.jp/