ジオトリフ 副作用マネジメントジオトリフの副作用マネジメント

上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬と下痢

このシリーズでは、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の服薬指導のために、主な副作用とその対処方法についてご紹介します。
今回は、下痢について、評価法、対処、患者さんに指導する際のポイントなどをとりあげます。約3分間でお読みいただけますので、ぜひご覧ください。

抗がん剤による下痢

殺細胞性抗がん剤による下痢はその発現時期により分類されており、有害事象としては遅発性下痢が多くみられます。 EGFR-TKI の各種薬剤においても副作用として下痢が多くみられ、その発生機序は腸上皮細胞のEGFR抑制など複数報告されています。

殺細胞性抗がん剤による下痢の分類
EGFR-TKIによる下痢発生機序の報告

下痢の評価と対処

下痢の評価には、便性状によるブリストル便性状スケールや、有害事象共通用語規準であるCTCAEが用いられます。ブリストル便性状スケールでは、泥状便、水様便が下痢便と判定されます。CTCAEはGrade1~5で評価します。
下痢の評価法
重度の下痢発現を防ぐためには、早期からの適切な対処が求められます。
ジオトリフ適正使用ガイドでは、Grade1~2ではロペラミドなどの下痢止めを追加してジオトリフの投与を継続することが推奨されています。
一方、Grade3以上またはGrade2の下痢でも48時間を超えるものや忍容できない場合には、ジオトリフを休薬し、下痢止めを投与して症状がGrade1以下に回復した後にジオトリフを減量して投与再開することが推奨されています。
異常が認められた場合の対応

患者さんへ指導する際のポイント

ジオトリフ服用中の患者さんにおいては、安全に治療を継続するためにも、患者指導を適切に行い、Grade 1以内にコントロールすることが重要です。
そのためには、患者さんに下痢症状を図などで分かりやすく説明し、下痢止め服用が必要な症状を理解いただき、下痢の発生時期や患者さんの排便状況を把握することが重要です。排便状況に変化があれば適切に休薬減量および薬物治療による介入を行うことが必要です。
また、休薬・減量、発症時の水分摂取、下痢止め服用の必要性を繰り返し説明してください。ただし、重度の便秘にならないよう下痢止めの過度の服用は避け、下痢や腹痛がひどい場合はすぐに医師へ連絡をしてもらうように説明することも大切です。
患者さんへ指導する際のポイント

日常生活の工夫

下痢の際には、安静と清潔をこころがけることが求められます。また、下痢は心身に負担のかかる症状であるため、脱水や体内の電解質バランス、食事回数や1回の食事量に注意しながら、消化のよい食べ物で必要なエネルギーをとり、体力を保つことが大切です。

日常生活の工夫
食事のポイント
食事のポイント

副作用マネジメント

こちらの図は、副作用の発現と増加に伴う医療従事者の負担増を表しています。下痢等の副作用は、一般的に重症化するにつれて医療従事者の負担も増加してしまいますので、これらの対処を早期に行って重症化を予防することが重要です。ジオトリフの場合、第Ⅲ相試験の統合解析の結果、早期の用量マネジメントを行うことで、副作用の発現・重症化の低減、副作用マネジメントの負担軽減、治療継続期間の延長等が期待できることがわかっています。

副作用に伴う、医療従事者への負担
ジオトリフの用量マネジメント(イメージ図)

LUX-Lung3, 6の統合解析

LUX-Lung3,6の統合解析の結果をご紹介します。本解析の対象は、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌患者468例です。ジオトリフ40mg投与開始後6ヵ月以内の減量の有無と減量前後の副作用発現率および重篤度、無増悪生存期間(PFS)について解析を行いました。

減量率および増量率

ジオトリフの減量はLUX-Lung3で53.3%、LUX-Lung6で28.0%でした。
適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)ジオトリフの減量率および増量率

減量前後の主な副作用発現率

ジオトリフ減量前の主な副作用は、下痢・発疹/ざ瘡・口内炎などでした。下痢についてみると、LUX-Lung3では減量前Grade1-2 78.7%、Grade3以上20.5%だったのに対し、減量後はGrade1-2 42.6%、Grade3以上4.1%と減少傾向が認められました。LUX-Lung6でも、減量前Grade1-2 76.2%、Grade3以上11.9%、減量後Grade1-2 29.9%、Grade3以上0%と同様の傾向が示されました。

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)減量前後の主な副作用発現率:LUX-Lung 3
適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)減量前後の主な副作用発現率:LUX-Lung 6

投与期間

投与期間は、LUX-Lung3,6ともに減量した患者さんで短縮はみられませんでした。
適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)投与期間中央値

減量有無別の無増悪生存期間

薬剤の減量では効果減弱が最も心配されますが、 LUX-Lung3のPFS中央値を見ると、減量した患者さんで11.3ヵ月、減量していない患者さんで11.0ヵ月であり、両群間で差は認められませんでした(ハザード比 1.25、95%CI:0.91-1.72)。
LUX-Lung6でも同様に減量した患者さんと減量していない患者さんでPFSの差は認められていません(PFS中央値12.3ヵ月、11.0ヵ月、ハザード比 1.00、95%CI:0.69-1.46)。
以上の結果から、ジオトリフは用量マネジメントにより、副作用発現頻度を減らし、効果を減弱させず治療を続けることができると考えられます。

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)減量有無別の無憎悪生存期間:LUX-Lung 3
適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)減量有無別の無憎悪生存期間:LUX-Lung 6

まとめ

  • EGFR-TKIでは副作用として下痢が多くみられる
  • 下痢による苦痛が大きい場合、EGFR-TKIの休薬・減量も考慮することが重要
  • 下痢のマネジメントは早期に対処し、重症化を予防することが大切
  • LUX-Lung3,6の統合解析の結果、ジオトリフ減量前後でGrade3以上を含めて副作用の減少傾向が認められた
  • 減量の有無により、PFSに差は認められなかった

殺細胞性抗がん剤による下痢の分類

EGFR-TKIによる下痢発生機序の報告

下痢の評価法

異常が認められた場合の対応

患者さんへ指導する際のポイント

日常生活の工夫

食事のポイント

食事のポイント

副作用に伴う、医療従事者への負担

ジオトリフの用量マネジメント(イメージ図)

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)ジオトリフの減量率および増量率

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)減量前後の主な副作用発現率:LUX-Lung 3

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)減量前後の主な副作用発現率:LUX-Lung 6

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)投与期間中央値

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)減量有無別の無憎悪生存期間:LUX-Lung 3

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)減量有無別の無憎悪生存期間:LUX-Lung 6