ジオトリフ 診療サポートジオトリフの副作用マネジメント

肺癌の基礎知識

このシリーズでは、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の服薬指導のために、主な副作用とその対処方法についてご紹介します。
今回は、肺癌の種類、治療法、遺伝子変異、間接性肺炎などをとりあげます。

肺癌の概要

肺癌は癌死亡原因の男性で第1位、女性で第2位

癌の部位別死亡率の推移
日本人の死因の第1位は悪性新生物(癌)です。癌の部位別では、肺癌は男性では1990年代に「第1位」、女性では2000年代に「第2位」に浮上し、以後も急激に増加し続けています。

癌の種類

癌の組織型
癌の組織型は、大きく「小細胞癌」と「非小細胞癌」に分けられ、非小細胞肺癌は、さらに、「腺癌」、「扁平上皮癌」、「大細胞癌」などに分けられます。小細胞癌は、ほかの癌細胞と比較すると進行が速く、悪性度が高い癌です。腺癌は4種類ある癌の組織型の中では日本で最も発症頻度が高いといわれています。

肺癌の治療

肺癌の治療法

肺癌の治療法
肺癌の治療法には、局所療法(手術・放射線療法)と全身療法(抗癌剤による薬物療法)があります。現在、肺癌の治療では、遺伝子異常(後述)をターゲットとした分子標的治療が発達してきており、患者さんひとりひとりに合った「個別化治療」が可能となってきています。

特有な遺伝子異常をもつ肺癌の存在

肺癌と遺伝子異常

最近の研究により、特有な遺伝子異常をもつ肺癌が存在することがわかってきました。代表的な遺伝子異常は、非小細胞肺癌の「EGFR遺伝子変異」や「ALK融合遺伝子」ですが、これら以外にもさまざまな遺伝子異常が存在します。

東アジア(日本・韓国・中国)の肺腺癌では、EGFR遺伝子変異が40~55%程度、ALK融合遺伝子が3~5%程度を占め、全体の70%程度に遺伝子異常が認められます。

EGFR遺伝子変異とEGFR-TKIとは

EGFR遺伝子変異とは

上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)は、癌細胞が増殖するスイッチのような役割を果たしているタンパク質で、癌細胞の表面に存在しています。EGFRを構成する遺伝子の一部(チロシンキナーゼ部位)に変異があると、癌細胞を増殖させるスイッチがオンになり、癌細胞が限りなく増殖してしまいます。
このEGFRをターゲットとした分子標的治療薬(チロシンキナーゼ阻害薬:EGFR-TKI)は、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の第一選択薬のひとつとして位置付けられています

*肺癌診療ガイドライン2016年版

EGFR-TKIの特徴的な副作用

EGFR-TKIの主な副作用

特に注意するべき副作用
EGFR-TKIで特に注意すべき副作用のひとつに「間質性肺疾患」があります。間質性肺疾患は、間質(肺胞壁)に主な病変がある一連の症候群のことで、間質性肺炎は間質性肺疾患に含まれます。主な症状は呼吸困難と乾性咳です。階段を上ったり、急ぎ足で移動したりするときに見られる息切れ、息苦しさ、空咳(からせき)、発熱などの症状があれば間質性肺炎が疑われます。間質性肺炎は致死的な副作用ですので、早急な対応が重要となります。これらの症状があらわれたとき、いつもと違う感じがするときは、次の診察日を待たずに医療機関に連絡するよう、ご指導ください。

このほか、 EGFR-TKIで注意すべき副作用として「下痢」、「皮膚症状(発疹/ざ瘡様皮膚炎など)」、「爪の異常(爪囲炎など)」、「口内炎」などがあります。これらの副作用については、第2回以降で詳しくご紹介します。

ジオトリフの有効性と安全性

EGFR-TKI「ジオトリフ」の有効性と安全性 -ジオトリフvsゲフィチニブの直接比較 LUX-Lung7試験より-

LUX-Lung7(海外データ)試験デザイン
本試験はEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌患者さん319例を対象にジオトリフおよびゲフィチニブの一次治療としての有効性、安全性を比較検討した試験です。
LUX-Lung7(海外データ)無増悪生存期間(PFS)[主要評価項目]:独立判定委員会判定
主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はジオトリフ群で延長を認め、ハザード比は0.73でした。カーブは一貫して上にあり、後半にかけて離れる傾向が認められました。
LUX-Lung7(海外データ)治療成功期間(TTF)[主要評価項目]
同様に治療成功期間(TTF)もジオトリフ群で延長を認め、ハザード比は0.73でした。

Grade 3以上の主な副作用は、ジオトリフ群で下痢、発疹/ざ瘡、疲労など、患者さんが自覚しやすい副作用が多く、ゲフィチニブ群で発疹/ざ瘡などに加え、 ALT/AST増加など患者さんが感じにくい副作用が認められました。

LUX-Lung7(海外データ)副作用①:Grade 1/2(発現率10%以上)またはGrade 3以上
LUX-Lung7(海外データ)副作用𖯃:Grade 1/2(発現率10%以上)またはGrade 3以上

まとめ

  • 癌の組織型は、大きく「小細胞癌」と「非小細胞癌」に分けられます
  • 非小細胞肺癌の代表的な遺伝子異常には、「EGFR遺伝子変異」や「ALK融合遺伝子」などがあります
  • EGFR-TKIで特に注意すべき副作用は、「間質性肺疾患(ILD)」で、主な症状は呼吸困難と乾性咳です
  • EGFR-TKIである「ジオトリフ」は、LUX-Lung 7試験において、無増悪生存期間(PFS)が延長しました
  • Grade 3以上の主な副作用は、ジオトリフ群で下痢、発疹/ざ瘡、疲労、ゲフィチニブ群でALT/AST増加、発疹/ざ瘡でした

癌の部位別死亡率の推移

癌の組織型

肺癌の治療法

肺癌と遺伝子異常

EGFR遺伝子変異とは

特に注意するべき副作用

LUX-Lung7(海外データ)試験デザイン

LUX-Lung7(海外データ)無増悪生存期間(PFS)[主要評価項目]:独立判定委員会判定

LUX-Lung7(海外データ)治療成功期間(TTF)[主要評価項目]

LUX-Lung7(海外データ)副作用①:Grade 1/2(発現率10%以上)またはGrade 3以上

LUX-Lung7(海外データ)副作用𖯃:Grade 1/2(発現率10%以上)またはGrade 3以上