ジオトリフ 診療サポートジオトリフの副作用マネジメント

上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬の用量マネジメント

このシリーズでは、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の服薬指導のために、主な副作用とその対処方法についてご紹介します。
今回は、ジオトリフの用量マネジメントを具体的なCaseをもとにご紹介します。約3分間でお読みいただけますので、ぜひご覧ください。

用量マネジメントの重要性

下痢等の抗がん剤に伴う副作用は、一般的に重症化するにつれて医療従事者の負担も増加してしまいます。そのため、予防を含めた早期の対応により重症化を防ぐことが求められます。
副作用の発現と増加に伴う医療従事者の負担増
ジオトリフの場合、第Ⅲ相試験の統合解析の結果、早期に適切な用量マネジメントを行うことで、副作用の発現・重症化は低減され、治療期間が短くなることはないと報告されています。
ジオトリフの用量マネジメント(イメージ図)

今回は、下痢が認められたCaseをもとに、具体的なジオトリフの用量マネジメント法をご紹介します。

Caseで学ぶ用量マネジメント

Case1

Case1は、投与開始後すぐにGrade3の下痢、つまりベースラインと比べて7回/日以上の排便回数増加が発現し、休薬・減量を行った例です。

このように、早期にGrade3以上の下痢が発現することもありますので、その場合には、速やかに休薬・減量を行ってください。

Case1:投与開始後、すぐにGrade3の下痢が発現している状態

Case2

Case2は、後々の負担が増える可能性が高い、誤った用量マネジメントの例です。
こちらの例では、排便回数がベースラインと比べて4回/日以上増加したGrade2の下痢が出た後も服用を継続しています。その後、患者さんが苦痛を訴えて初めて休薬・減量を行っています。

このように休薬・減量のタイミングが遅くなると、下痢の重症化や皮疹などの他の副作用の発現により、副作用マネジメントの負担が増すおそれがあります。休薬・減量は、Grade2の下痢が48時間以上継続した時点で行うことが勧められます。

Case2:誤ったマネジメント。後々苦労が多いケース

Case3

Case3は、適切な用量マネジメントの例です。
こちらの例では、下痢の発現に合わせたロペラミドの使用により排便回数の増加をGrade1以内にコントロールし、Grade3ではなくても、48時間を超えるGrade2の下痢がみられた際には、休薬・減量を行っています。48時間を超えなくても患者さんが忍容できない場合には、休薬・減量を行うことが求められます。
Case3:適切な用量マネジメント

参考:下痢が認められた際の用量マネジメントと下痢の評価

異常が認められた場合の対応
下痢の評価法

ジオトリフ減量による副作用マネジメント

EGFR-TKI「ジオトリフ」減量による副作用マネジメントと有効性-LUX-Lung3, 6の統合解析より-

ジオトリフは、このような早期の用量マネジメントを行うことで、副作用の発現・重症化の低減、治療継続等が期待できることが LUX-Lung3,6の統合解析の結果からわかっています。

本解析の対象は、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌患者468例です。ジオトリフ40mg投与開始後6ヵ月以内の減量の有無と減量前後の副作用発現率および重篤度、無増悪生存期間(PFS)などについて解析を行いました。
ジオトリフの減量はLUX-Lung3で53.3%、LUX-Lung6で28.0%でした。

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)ジオトリフの減量率および増量率
こちらは、ジオトリフの用量変更前後での血漿中アファチニブ濃度変化の解析結果です。
本解析では、対象を投与開始後43日目までに、
(1)40mg投与を継続した群
(2)30mgへ減量した群
(3)50mgに増量した群
の3群に分けて解析を行っています。
用量変更前(22日目)における血漿中アファチニブ濃度は、30mgへ減量した群で高く、50mgに増量した群で低い傾向がみられ、3群間でばらつきが認められました。一方、ジオトリフの用量変更後の投与開始43日目時点における血漿中アファチニブ濃度は、3群とも同程度でした。
適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)用量変更前後の血漿中アファチニブ濃度

つまり、個々の患者さんに合わせたジオトリフの用量変更は、適した血漿中アファチニブ濃度につながる可能性が示唆されました。

実際に、用量変更による副作用の減少傾向も示されています。
LUX-Lung3における主な副作用は、下痢・発疹/ざ瘡・口内炎などでした。いずれの副作用も減量後は総発症率、Grade3以上の発症率とも減少傾向が認められました。全副作用の発症率をみると、減量前はGrade1-2 27.0%、Grade3以上73.0%だったのに対し、減量後は Grade1-2 65.6%、Grade3以上20.5%でした。
適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)減量前後の主な副作用発現率:LUX-Lung3
薬剤の減量では効果減弱が最も心配されますが、LUX-Lung3のPFS中央値を見ると、減量した患者さんで11.3ヵ月、減量していない患者さんで11.0ヵ月であり、両群間で差は認められませんでした(ハザード比 1.25、95%CI:0.91-1.72)。
適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)減量有無別の無憎悪生存期間:LUX-Lung3

以上の結果から、ジオトリフは用量マネジメントにより、種々の副作用を軽減できる可能性があり、効果が減弱することなく治療の継続を期待できると考えられます。

まとめ

  • 副作用マネジメントは早期に対処し、EGFR-TKIの休薬・減量も考慮して重症化を予防することが大切
  • LUX-Lung3,6の統合解析の結果、ジオトリフ減量前後でGrade3以上を含めて副作用の減少傾向が認められた
  • ジオトリフ減量の有無により、PFSに差は認められなかった
  • ジオトリフは、患者さんに合わせた用量変更により、効果が減弱することなく治療の継続を期待できることが示唆された

副作用の発現と増加に伴う医療従事者の負担増

ジオトリフの用量マネジメント(イメージ図)

Case1:投与開始後、すぐにGrade3の下痢が発現している状態

Case2:誤ったマネジメント。後々苦労が多いケース

Case3:適切な用量マネジメント

異常が認められた場合の対応

下痢の評価法

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)ジオトリフの減量率および増量率

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)用量変更前後の血漿中アファチニブ濃度

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)減量前後の主な副作用発現率:LUX-Lung3

適正使用ガイド~用量調整編~(海外データ)減量有無別の無憎悪生存期間:LUX-Lung3