EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者におけるジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療観察研究:GioTag update研究(中間解析)

1.[ふりかえり] ランダム化比較試験 LUX-Lung 3試験の臨床成績

1-1.LUX-Lung 3の試験デザイン

EGFR TKIを含む化学療法未治療患者に対する臨床成績 国際共同第Ⅲ相臨床試験:LUX-Lung 3

EGFR TKIを含む化学療法未治療患者に対する臨床成績
目的:
1次治療としてのジオトリフ単独療法の有効性および安全性をPEM+CDDP併用化学療法と比較する。
対象:
EGFR-TKIを含む化学療法未治療のEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌患者345例(日本人83例を含む)
方法:
対象をジオトリフ群(40mg/日を連日経口投与)あるいはPEM+CDDP群(各々500mg/m2、75mg/m2を3週毎に点滴静注)にランダムに割付け、有効性および安全性を検討した。
評価項目:
主要評価項目…無増悪生存期間
主な副次評価項目…奏効率、奏効までの期間、奏効期間、病勢コントロール率、病勢コントロール期間、全生存期間
解析計画:
事前に計画されたサブグループ解析として、性別、年齢、ECOG PS、EGFR遺伝子変異カテゴリー、喫煙歴、人種、日本人による層別解析を実施した。

Jones H. et al.:社内資料 国際共同第Ⅲ相試験(LUX-Lung 3)[承認時評価資料]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

1-2.無増悪生存期間(PFS)[主要評価項目]

  • ジオトリフの無増悪生存期間 (PFS)は11.1ヶ月でした。
  • 1年生存率は46.5%でした。(n=345:独立判定委員会による判定)
無増悪生存期間(PFS)

Jones H. et al.:社内資料 国際共同第Ⅲ相試験(LUX-Lung 3)[承認時評価資料]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

1-3.無増悪生存期間(PFS)の層別解析:Common mutation[サブグループ解析]

Common mutation:発現頻度が高いEGFR遺伝子変異(Del 19 またはL858R)を有する患者

  • 発現頻度が高いEGFR遺伝子変異(Del 19 またはL858R)を有する患者の無増悪生存期間(PFS)は13.6ヶ月でした。(n=308:独立判定委員会による判定)
無増悪生存期間(PFS)の層別解析

Jones H. et al.:社内資料 国際共同第Ⅲ相試験(LUX-Lung 3)[承認時評価資料]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

1-4.安全性

安全性

Jones H. et al.:社内資料 国際共同第Ⅲ相試験(LUX-Lung 3)[承認時評価資料]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

安全性(1)

  • 両群いずれかで発現率5%超の副作用
安全性(1) 両群いずれかで発現率5%超の副作用

発現症例数(発現率%)、Grade:CTCAE 3.0版、+:該当するMedDRAの基本語+異なる器官別大分類の関連する基本語+一部の高位用語を含むグループ用語、MedDRA:国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)

Jones H. et al.:社内資料 国際共同第Ⅲ相試験(LUX-Lung 3)[承認時評価資料]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

安全性(2)

  • 両群いずれかで発現率5%超の副作用
安全性(2) 両群いずれかで発現率5%超の副作用

発現症例数(発現率%)、Grade:CTCAE 3.0版、+:該当するMedDRAの基本語+異なる器官別大分類の関連する基本語+一部の高位用語を含むグループ用語、MedDRA:国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)

Jones H. et al.:社内資料 国際共同第Ⅲ相試験(LUX-Lung 3)[承認時評価資料]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

安全性(3)

  • 両群いずれかで発現率5%超の副作用
安全性(3) 両群いずれかで発現率5%超の副作用

発現症例数(発現率%)、Grade:CTCAE 3.0版、+:該当するMedDRAの基本語+異なる器官別大分類の関連する基本語+一部の高位用語を含むグループ用語、MedDRA:国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)

Jones H. et al.:社内資料 国際共同第Ⅲ相試験(LUX-Lung 3)[承認時評価資料]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

2.GioTag研究とGioTag update研究について

  • EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者におけるジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療(GioTag研究)は、T790M遺伝子変異によるEGFR-TKI耐性を獲得したEGFR遺伝子変異陽性(Del19/L858R)非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした研究です。ジオトリフによる一次治療後、T790M変異陽性患者に対してオシメルチニブを投与した場合のジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療によるリアルワールドでの治療期間を評価した国際多施設共同後ろ向き観察研究です1)
  • EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者におけるジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療(GioTag update研究)の中間解析では、GioTag研究における全生存期間(OS)および治療成功期間(TTF)について、2019年4月時点で新たに解析した結果を報告します。

1)Hochmair MJ. et al.: Future Oncol 14(27), 2861, 2018
Hochmair MJ. et al.: Future Oncol 2019 Aug 2. doi: 10.2217/fon-2019-0346. [Epub ahead of print]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

3.GioTag研究について

3-1.GioTag研究のデザイン

研究デザイン:
国際多施設共同後ろ向き観察研究(日本を含む10ヵ国の患者が対象)
目的:
EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者で、ジオトリフによる一次治療後にT790M変異を獲得し、オシメルチニブを投与した患者204例における、ジオトリフとオシメルチニブシークエンス治療のリアルワールドでの治療期間を評価した。
対象・
方法:
  • EGFR遺伝子変異陽性(Del 19/L858R)の進行非小細胞肺癌(NSCLC)
  • 18歳以上
  • 一次治療としてジオトリフを投与後、T790M変異を獲得し、二次治療としてオシメルチニブをデータエントリー日より10ヶ月以上前に投与
  • 対象患者数:204例(参加施設の診療録:38% 米国のCardinal Healthから提供された電子医療情報:62%)
  • 2018年の5月時点のデータに基づいて解析
評価項目:
[主要評価項目]患者ジオトリフ初回投与からオシメルチニブの最終投与または死亡までの期間: Time on treatment
[副次評価項目]オシメルチニブによる治療後の耐性獲得メカニズムのタイプと割合
解析計画:
  • 既報よりジオトリフのPFSは13~14ヵ月、オシメルチニブのPFSは10~13ヵ月と仮定し、治療期間中央値はおよそ24ヵ月と想定した
  • 10ヵ月以下の治療期間中央値の90%CIを80%の可能性で観察するための必要患者数は171例で、10%の打ち切りを想定し、サンプルサイズ190例とした
  • 治療期間と全生存期間(OS)はKaplan-Meier法を用い、治療継続中の患者については、データ収集日を打ち切りとした
  • ベースラインの症状、人口学的分析、ジオトリフ・オシメルチニブの投与量変更については、記述的分析を行った
  • 患者背景別のサブグループ解析を行った
安全性:
論文に記載なし
本研究の限界:
  • 一次治療(ジオトリフ)投与後に死亡した患者や、二次治療(オシメルチニブ)が不適格または望まない患者は除外された
  • データ収集期間(2017年12月28日~2018年5月31日)とジオトリフが承認・保険償還されたタイミング(研究参加国では2013年~2014年)の関係で、本研究ではオシメルチニブが10か月以上前に投与開始されていることから、ジオトリフの長期投与患者は研究対象とならなかった
  • 比較群が無いことにより、結果の解釈に限界がある

Hochmair MJ. et al.: Future Oncol 14(27), 2861, 2018
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

3-2.GioTag研究:選択バイアスの制御とデータの検証

観察した患者データの品質を保証するために、対象患者の30%に原資料の直接照合(SDV)を行いました。2017年12月28日~2018年5月31日の間で、以下のように情報を収集しました。

  • 1施設あたり最大15例まで、適格基準を満たし連続する患者を研究対象としました。
  • オシメルチニブの投与後早期打切り例を避け、matureなデータを得るため、オシメルチニブは少なくとも10か月以上前に投与開始した患者を対象としました。

Hochmair MJ. et al.: Future Oncol 14(27), 2861, 2018
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

3-3.GioTag研究の患者背景

患者背景(1)

GioTag研究の患者背景(1)

+:非アジア人:アフリカ系アメリカ人+白人

Hochmair MJ. et al.: Future Oncol 14(27), 2861, 2018
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

患者背景(2)

GioTag研究の患者背景(2)

Hochmair MJ. et al.: Future Oncol 14(27), 2861, 2018
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

4.GioTag update研究について

4-1.GioTag update研究の概要

  • ジオトリフ開始用量40mg例におけるOS中央値は45.3ヵ月(90%CI:37.6-47.6)、2年生存率は82%、TTF中央値は28.1ヵ月(90%CI:26.8-30.6)でした。
  • Del19陽性かつジオトリフ開始用量40mg例におけるOS中央値は45.7ヵ月(90%CI:45.3-47.6)、TTF中央値は30.6ヵ月(90%CI:27.6-33.8)でした。
  • ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療によりOS中央値が約3.5年、TTF中央値が2年以上という結果が得られたことから、ジオトリフを一次治療、オシメルチニブを二次治療に用いる治療シークエンスにより、OS延長につながる可能性が示唆されました。
  • 特にDel19陽性例においては、ジオトリフを一次治療、オシメルチニブを二次治療に用いる治療シークエンスが有用である可能性が示唆されました。
  • GioTag update研究は、選択バイアスを受けやすいレトロスペクティブな観察研究であることから、今後さらなる検討が必要です。

4-1.GioTag update研究のデザイン

研究デザイン:
国際多施設共同後ろ向き観察研究(日本を含む10ヵ国の患者が対象)
目的:
GioTag研究について、全生存期間(OS)および治療成功期間(TTF)を新たに解析した。
対象・
方法:
  • 対象患者数203例(GioTag研究の対象患者のうちデータ不整合のある1例を除外)
  • 参加施設の診療録:77名(38%) 米国のCardinal Healthから提供された電子医療情報:126例(62%)
  • 2019年の4月時点で新たに解析
評価項目:
[主要評価項目]ジオトリフ初回投与からオシメルチニブの最終投与または死亡までの期間:治療成功期間 (Time to treatment failure:TTF)
[探索的評価項目]全生存期間(OS)
解析計画:
  • 中間解析では、米国の電子医療情報が利用可能な94例から最新のデータが提供された
  • TTFとOSはKaplan-Meier法を用い、治療継続中の患者については、TTFはデータ収集日を打ち切りとした
  • 事前に規定されたジオトリフの開始用量40mgの患者集団における部分集団解析も実施した
安全性:
論文に記載なし
本研究の限界:
  • 一次治療(ジオトリフ)投与後に死亡した患者や、二次治療(オシメルチニブ)が不適格または治療を望まない患者は除外された
  • データ収集期間(2017年12月28日~2018年5月31日)とジオトリフが承認・保険償還されたタイミング(研究参加国では2013年~2014年)の関係で、本研究ではオシメルチニブが10か月以上前に投与開始されていることから、ジオトリフの長期投与患者は研究対象とならなかった
  • 比較群が無いことにより、結果の解釈に限界がある

※最終解析として、さらに参加施設の診療録からの情報29例のデータを組み入れて2020年初旬に発表予定

Hochmair MJ. et al.: Future Oncol 2019 Aug 2. doi: 10.2217/fon-2019-0346. [Epub ahead of print]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

4-2.GioTag update研究の患者内訳と方法

患者内訳:

  • GioTag update研究で対象とされた患者203例について、OSおよびTTFに関する2019年4月時点での最新データに基づいて新たに解析しました。
  • 2019年4月時点で生存例が92名(45.3%)、死亡例が85名(41.9%)、追跡不能例が26名(12.8%)でした。
GioTag update研究の患者内訳

※GioTag研究の対象患者のうちデータ不整合のある1例を除外

Hochmair MJ. et al.: Future Oncol 2019 Aug 2. doi: 10.2217/fon-2019-0346. [Epub ahead of print]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

4-3.GioTag update研究の結果

4-3-1.ジオトリフ開始用量40mg例の全生存期間(OS)

  • 開始用量40mgにおけるジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療による全生存期間(OS)中央値は45.3ヵ月でした。maturityは40%でした。
  • 2年生存率は82%でした。
ジオトリフ開始用量40mg例の全生存期間(OS)

Hochmair MJ. et al.: Future Oncol 2019 Aug 2. doi: 10.2217/fon-2019-0346. [Epub ahead of print]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

4-3-2.ジオトリフ開始用量40mg例の治療成功期間(TTF)

  • 開始用量40mgにおけるジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療による治療成功期間(TTF)中央値は28.1ヵ月でした。
ジオトリフ開始用量40mg例の治療成功期間(TTF)

Hochmair MJ. et al.: Future Oncol 2019 Aug 2. doi: 10.2217/fon-2019-0346. [Epub ahead of print]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

4-3-3.Del19陽性かつジオトリフ開始用量40mg例の解析結果

  • Del19陽性かつ開始用量40mgにおける、ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療による全生存期間(OS)中央値は45.7ヵ月でした。
  • 治療成功期間(TTF)中央値は30.6ヵ月でした。
Del19陽性かつジオトリフ開始用量40mg例の解析結果

Hochmair MJ. et al.: Future Oncol 2019 Aug 2. doi: 10.2217/fon-2019-0346. [Epub ahead of print]
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

4-3-4.GioTag update研究の安全性

  • GioTag update研究におきまして、安全性情報を収集しておりません。
  • 安全性情報に関しまして、製品添付文書をご参照ください(添付文書はこちら

ジオトリフ

PC
2019年10月作成