ジャディアンスジャディアンスの医療技術評価
(HTA:Health Technology Assessment)

監修:神奈川県立保健福祉大学大学院 ヘルスイノベーション研究科教授 坂巻弘之 先生

1. 医療技術評価(HTA)と費用対効果評価

この章では近年注目される医療技術評価(HTA)の概要と費用対効果評価の考え方に加え、糖尿病治療薬であるジャディアンスのエビデンスを用いた分析結果をご紹介いたします。

1-1. 医療技術評価とは

保健医療技術の普及と意思決定支援を目的に、医療技術を医学的、経済的、社会的な側面などから総合的かつ包括的に評価することを医療技術評価(Health Technology Assessment)、略してHTAといいます。

HTAが求められてきている背景には、患者さんを中心とした医療を考える上で医学的側面のみならず、医療経済面での評価も重要になってきているからです。

1-2. 日本における糖尿病治療の現状

厚生労働省の調査によると、糖尿病が強く疑われる方の数は2007年度から増加の一途を辿っており、糖尿病医療費でも1990年代から増加し、2010年度以降、約1兆2000億円で推移しています。

糖尿病治療の目標である「健康な人と変わらないQOLの維持と寿命の確保」を達成し続けるためには、医学的側面だけではなく、経済的側面の評価も考慮する必要があります。

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2. 費用対効果評価の考え方

費用対効果評価は、新たな医療技術の効果が費用の増加に見合うかを、既存治療との比較で評価することです。

このときの効果を健康価値の変化として一般的に質調整生存年、QALYで表します。QALYは生存年を健康状態で重みづけした値で、完全な健康状態で生きる年数のことです。

新薬が既存治療に比べ、費用増加に見合う価値があるかを増分費用効果比、ICERで評価します。ICERは既存治療から新薬に変更した際の追加効果1QALY(1年の生存年延長)を得るために必要な追加費用を表す指標です。

既存治療と新薬との比較は、既存治療を中心に置き、縦軸を費用の増減、横軸をQALYの増減としたときに、新薬のICERがどこに位置するかで費用対効果を分析できます。例えば、1QALY増加のためにいくらまでの費用増加を許容するかを表す基準値よりもICERが下に位置する場合は費用対効果が良いとされます。

※中医協では、一般的な医療技術の価格調整の下限を500万円/QALYとしており、500万円が基準値の目安となると考えられます。

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3. 【参考情報】ジャディアンスのエビデンスを用いた分析結果

費用対効果分析は、EMPA-REG OUTCOME®試験のアジア人データを用いて行いました。

分析方法は、患者ひとりにつき複数かつ競合するイベントを扱うことができるDESモデルを採用し、死亡までの期間を分析しました。医療費はMDVが提供する、日本のDPC対象病院のレセプトデータベースから算出した値を用いています。

分析モデルは、本試験の患者背景情報の分布を基に、架空のモデル患者を作成し、一万例のモデル患者のシミュレーションを行いました。

分析の結果、標準治療にジャディアンスを追加することにより6.2年の生存年と2.7QALYの増加が得られる結果になりました。また、これらによるICERは415,849円で、国が定める基準値の500万円よりも低い結果となりました。

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