ミカルディス 製品紹介血圧管理のための体液量コントロール
-食塩感受性を見据えて-

血圧管理のための体液量コントロール -食塩感受性を見据えて- 国際医療福祉大学 臨床検査医学 主任教授 下澤 達雄 先生

血圧管理のための体液量コントロール-食塩感受性を見据えて-

我が国における高血圧の現状

 本日のテーマは「血圧管理のための体液量コントロール ー食塩感受性を見据えてー」です。我が国における高血圧患者の治療率は年々上昇しています。それに伴い、高血圧管理率、すなわち降圧薬を服用し、収縮期血圧140mmHg未満、拡張期血圧90mmHg未満にコントロールできている患者の割合も上昇していますが、2015年の国民健康栄養調査の結果からいずれの年代でも50%程度であり、まだまだ不十分な状況です(図1)。
高血圧管理率の年次推移(1980-2015年)図1 拡大する

食塩過剰摂取と高血圧 ~食塩感受性高血圧とは~

 血圧コントロール不良になる原因の1つとして、過剰な食塩摂取が考えられています。日本人の食塩摂取量は平均10g/日で、これは日本高血圧学会の推奨する1日摂取量6g未満を上回っています1)
 しかし、食塩摂取量が多いとすべての人が高血圧になるわけではありません。が、しかし、塩分排泄量と血圧の関係を示した49ヵ国 133,118例を対象とした4つの大規模な前向き研究のプール解析の結果、高血圧患者では食塩摂取1g排泄するために要する血圧が収縮期、拡張期ともに非高血圧患者と比べて有意に大きくなることが示されています2)。こうした食塩の過剰摂取による血圧上昇のメカニズムとしては、過剰な食塩摂取により腎臓におけるナトリウムの再吸収が亢進し、体液貯留を呈した結果、血圧が上昇すると考えられています。そのため、高血圧患者の治療法選択においては、食塩感受性を考慮しながら減塩指導もしくは利尿薬投与が有効と考えられます。

食塩感受性高血圧の規定因子とは

年齢、高血圧、食塩摂取量とともに食塩感受性が亢進(海外データ)図2 拡大する
 食塩感受性を亢進する原因は何なのでしょうか?世界18ヵ国の成人102,216例を対象とし、24時間尿中ナトリウム・カリウム排泄量を推定し、血圧との関係を調査した結果、Na排泄量1g増加時の収縮期血圧の変化量は食塩過剰摂取、高血圧の有無、年齢と強い相関が示されました(図2)。また、遺伝的背景も影響しており、日本人は特に食塩感受性を高める遺伝子多型の頻度が高いことが報告されています3)

24時間血圧管理の重要性

 さらに、食塩感受性高血圧は、非感受性の場合と比べて心血管予後が不良であると報告されています4)。この1つの要因として、血圧の日内変動パターンの違いが深く関係していると言われています。通常、健常人での血圧日内変動は、昼間に高く夜間は低下する、いわゆるdipper型です。それに対して食塩感受性高血圧患者は、日中のナトリウム排泄障害があるため、代償的に夜間血圧が上昇しnon-dipper型になっていると考えられています。また、non-dipper型のように夜間に血圧低下が少なく、日中と夜間の血圧差があまりない場合だと左室肥大の増加と関係することも示されています5)。そのため、食塩感受性高血圧では、この夜間血圧をいかにコントロールするかが重要となります。

降圧目標達成のためのコツ

 高血圧治療においては、食塩過剰摂取、肥満などの生活習慣の乱れの改善が基本となります。
 しかしながら、高血圧患者は自身の食塩摂取量を正確に把握していないことが多いため減塩する意識が低い場合もあります6)。そのため、食塩摂取量を患者自身にしっかり認識してもらうことが減塩につながると考えています(図3)。
 また、利尿薬による体液量コントロールをしている場合でも減塩指導が有用で、これらを組み合わせた高血圧治療はそれぞれを単独で行うよりも相乗的な降圧効果が期待できます(図4)。
高血圧患者は自身の食塩摂取量を把握すると減塩できる図3 拡大する
減塩を組み合わせた高血圧治療の効果図4 拡大する

食塩感受性高血圧に対する3剤併用の有用性

ABPMによる各時間帯の平均値の変化量(収縮期血圧)図5 拡大する
 降圧目標を達成するためには、多くの場合2剤もしくは3剤の降圧剤の併用が必要となります。ARB/Ca拮抗薬/利尿薬の3剤配合剤であるミカトリオ配合錠の降圧効果を検討した国内試験では2剤併用では効果不十分な高血圧患者には、non-dipper型が多いことが示唆されています7)。こうした2剤併用で降圧効果が不十分な高血圧患者にABPMを用いて24時間の降圧効果を検討した結果、ミカトリオ配合錠群は、夜間血圧が十分下がらないnon-dipper型に対して、夜間血圧を低下させることが示されています(図5)。

利尿薬処方時の注意点

 一般に、3種類以上の併用療法において、1剤は利尿薬を選択し、体液量の調節を図ることがガイドラインでも推奨されています1)。ただし、サイアザイド系利尿薬やループ利尿薬は低Mg血症や低K血症などの影響があるため、電解質に対する注意が必要です。そのため、こうした利尿薬を投与する際は、投与開始2~4週間の時点で電解質を確認することが望ましいと考えています。

我が国の高血圧患者の平均服薬数とアドヒアランスの重要性

 また、高血圧治療においては、複数の薬剤の併用が推奨される一方で、併用による薬剤数の増加が問題となることがあります。特に高齢者などでは高血圧に加えて糖尿病など様々な慢性疾患を併発していることが少なくなく、国内の調査では、2疾患以上の慢性疾患を有する患者の内服薬数は平均5.8錠という状況でした(図6)。

 こうした背景から、高血圧患者のアドヒアランスは服薬開始初期から徐々に低下し、約1年後まで服薬遵守できている患者は全体の60%程度になっているのが現状です(図7)。最近では治療抵抗性高血圧患者の服薬アドヒアランスは実際に処方された薬剤数の半分程度と著しく不良であることも明らかになっています8)

高血圧や糖尿病など2疾患以上慢性疾患を有する患者に処方された内服薬数の分布図6 拡大する
降圧療法のアドヒアランス図7 拡大する

アドヒアランス向上と降圧効果が期待できるミカトリオ

国内第Ⅲ相試験 ベースラインからの血圧下降度 [二重盲検期(8週)]図8 拡大する
 アドヒアランスの問題を解決させるためには、やはり配合剤を活用することが有意義だと考えます。実際、配合剤とそれぞれの単剤併用を比較したメタアナリシスでは、治療歴のある高血圧患者において配合剤投与によりMPR(総投薬量に対する実服薬量の割合)が14%も有意に高くなり、配合剤によるアドヒアランス向上が示されています9)
 国内臨床試験においては、ミカムロ配合錠BPで降圧効果が不十分な高血圧患者を対象に、ミカムロ配合錠BP+ヒドロクロロチアジド12.5mgを投与するミカトリオ配合錠群と、ミカムロ配合錠BP群に分けて1日1回8週間投与し血圧下降度を見た結果、ミカトリオ配合錠群は、ベースライン時と比べて収縮期血圧は平均12.3mmHg、拡張期血圧は平均8.4mmHg低下させました(図8)。
 このような臨床試験の結果から、ミカトリオ配合錠と同じ薬剤の組み合わせ、すなわちテルミサルタン80mg、アムロジピン5mg及びヒドロクロロチアジド12.5mgを一定の期間(8週間以上)併用し、有効性と安全性が認められた症例においては、ミカトリオ配合錠への切替えが奨められ、アドヒアランスの向上が期待できると考えます。

今後の高血圧治療の指針

 いかに優れた降圧薬があったとしても患者が服用を継続できなければ十分な治療効果は得られません。日本人の高血圧治療においては、食塩感受性の観点から減塩と利尿薬による体液量コントロールが重要なことを踏まえつつ、ミカトリオ配合錠などの配合錠を活用して服薬アドヒアランスの向上を図り、良好な治療を継続的に提供していくことが望まれます。

  • 1) 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン(JSH)2014
  • 2) Mente A, et al. Lancet 2016; 388: 465-478
  • 3) Katsuya T, et al. Hypertens Res 2003; 26: 521-525.
  • 4) Morimoto A, et al. Lancet 1997; 350: 1734–1737
  • 5) Kuwajima I, et al. Am Heart J 1992; 67: 1307-1311
  • 6) Ohta Y, et al. Clin Exp Hypertens 2015; 37: 172-175
  • 7) 檜垣實男 ほか. 血圧 2017; 24(4):268-281*
  • 8) SYMPATHY Investigators. Hypertension 2017; 69: 678-684
  • 9) Sherrill B et al. J Clin Hypertens. 2011;13:898-909

*本試験は日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社の支援により行われた。

2017年11月作成

高血圧管理率の年次推移(1980-2015年)

年齢、高血圧、食塩摂取量とともに食塩感受性が亢進(海外データ)

高血圧患者は自身の食塩摂取量を把握すると減塩できる

減塩を組み合わせた高血圧治療の効果

ABPMによる各時間帯の平均値の変化量(収縮期血圧)

高血圧や糖尿病など2疾患以上慢性疾患を有する患者に処方された内服薬数の分布

降圧療法のアドヒアランス

国内第Ⅲ相試験 ベースラインからの血圧下降度 [二重盲検期(8週)]