ミカルディス 製品紹介高血圧Webシンポジウム
「厳格な降圧目標を達成するために、今何が必要か?
~配合剤の使い方を改めて見直す~」

主 催:
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社_Web講演会記録集
開催日:
2019年2月21日(木)

高血圧Webシンポジウム

Web講演会
厳格な降圧目標を達成するために、今何が必要か?
~配合剤の使い方を改めて見直す~

演者 島本 和明 先生
日本医療大学 総長

高血圧ガイドラインと血圧管理率

日本では4,300万人が高血圧とされ、最も多い生活習慣病である。高血圧は脳卒中や心臓病、腎臓病、認知症の重要な原因疾患であり、2018年12月には脳卒中、循環器病対策基本法案が成立した。今後1年以内に対策推進協議会、基本計画が策定される。
近年、米国、欧州で高血圧の新しいガイドラインが次々と発表された1) 2) 。米国(AHA/ACC)では2017年にSPRINT試験の結果3)を重視し、130/80 mmHg以上を高血圧と定義した。また、欧州(ESC/ESH)では2018年に高血圧の基準は140 /90mmHgで変更しないものの、忍容性があれば130/80mmHg未満を降圧目標と定めた。日本でも今年4月に発表される新しい高血圧診療ガイドライン2019では、高血圧の基準の変更はなかったが、75歳未満においては欧州と同様に130/80mmHg未満を降圧目標とする予定となっている。
一方、血圧管理率は世界的に見てもまだまだ低いのが現状である。日本でも2016年の血圧管理率は約50%にとどまっている4)。医師の高血圧症に対する治療満足度が100%に近いことを考えると、依然としてHypertension Paradoxの状態が続いている5)

高血圧治療における配合剤の意義

Hypertension Paradox克服のために、医師は患者の高血圧の理解を進め、コンコーダンスを実践していく必要がある。また、降圧薬を使用する場合は降圧効果が強く、持続する薬剤を選び、併用の場合にはアドヒアランスを考慮し、配合剤の使用が重要となる。すなわち、配合剤の活用により、アドヒアランスが向上し、降圧効果が増強されることに加え、併用より薬価も下がることも期待できる。
アドヒアランスについては、2剤以上に薬剤数が増えると、処方された降圧薬すべてを服薬する患者の割合は下がってくることや(図1)6)、2剤併用に比べて配合剤の使用によりアドヒアランスが向上することも報告されている7)

図1 降圧薬処方薬剤数とアドヒアランスの関係

図1 降圧薬処方薬剤数とアドヒアランスの関係 拡大する

また、単剤併用よりも配合剤がよいことはメタ解析からも示されている8)。さらには、3剤併用よりも3剤配合剤を使用すると治療継続率が約2倍になることも報告されている(図2) 9)。これらのことは、薬剤数をシンプルな1剤にすることがアドヒアランスを改善するうえで、いかに重要であるか、また有意義であるかを示した成績といえる。

図2 3剤配合薬におけるアドヒアランスと治療継続率

図2 3剤配合薬におけるアドヒアランスと治療継続率 拡大する

ESC/ESH2018高血圧ガイドラインでは、治療早期の段階から2剤配合剤の使用が推奨され、次の段階で3剤配合剤の使用が推奨されている2)。すなわち、血圧コントロールを改善するために、配合剤を用いたシンプルな高血圧治療を進め、アドヒアランスを向上させるという治療戦略が示されている。
日本で発売されているARBを含む唯一の3剤配合剤であるミカトリオ配合錠の臨床試験結果からは、2剤配合剤から薬剤を1つ上乗せすることによる降圧効果がみられている10) 11)。また、医療経済的側面から、ミカトリオ配合錠によってアドヒアランスが改善し、血圧コントロールが向上することで、薬剤費以外の急性期および慢性期医療費の抑制が期待できることが報告されている(図3)12)

図3 ミカトリオ配合剤が医療に与える影響
生涯にわたる合併症医療費と慢性期医療費(薬剤費を除く)

図3 ミカトリオ配合剤が医療に与える影響 生涯にわたる合併症医療費と慢性期医療費(薬剤費を除く) 拡大する

ミカトリオ配合錠の保険に係る留意事項について

ミカトリオ配合錠への切り替えに当たっては、診療報酬明細書の摘要欄に記載する事項が多く煩雑であるとの声が多く、日本高血圧協会理事長参考人として内閣府規制改革推進会議において厚生労働省にその見直しを求めた。会議では、配合錠全般に対して指摘されている①過剰降圧の可能性、②用量調整ができない、③副作用時に原因薬剤の特定が困難といった点に対する対応や考え方を解説し、医師の処方裁量権の中で十分対応できることを説明した。また、すでにミカトリオ配合錠の使用実態下における安全性と有効性に関しての中間報告がなされており、降圧効果が維持されるとともに、副作用なども治験時に比べ特に新しい知見もなかったことが示されている13)。これらを踏まえて、さらに規制改革会議で検討が行われ、厚生労働省から2019年2月20日にミカトリオの保険に係る留意事項に対する疑義解釈(Q&A)が発出された(図4) 14)。レセプト記載の明確化が図られている。

図4 ミカトリオ配合錠をご処方いただくにあたってのお願い

図4 ミカトリオ配合錠をご処方いただくにあたってのお願い 拡大する

日本の高血圧患者の厳格な降圧目標達成に向けて、降圧効果やアドヒアランス向上が期待できる2剤あるいは3剤配合剤の有用性をご考慮いただき、先生方の日常診療でHypertension Paradox克服に向けてのご努力をお願い申し上げたい。

  • 文献
  • 1) Whelton PK, et al.: J Am Coll Cardiol 2018; 71(19): e127-e248
  • 2) Williams B, et al.: Eur Heart J 2018; 39(33): 3021-3104
  • 3) SPRINT Research Group.: N Engl J Med, 2015; 373: 2103-2116
  • 4) 厚生労働省:「平成28年度国民健康栄養調査」
  • 5) 平成26年度国内基盤技術調査報告書 60疾患の医療ニーズ調査と新たな医療ニーズ
  • 6) Fung V, et al. Clin Ther. 2007;29:972-984
  • 7) 西村誠一郎, ほか.: 血圧. 2017; 24(10): 725-737*
  • 8) Bangalore S, et al.:Am J Med 2007;120(8):713-719
  • 9) Machnicki G, et al.:Curr Med Res Opin 2015;31(12):2287-2296
  • 10) Higaki J, et al.: Hypertens Res 2017; 40: 251-258*
  • 11) Higaki J, et al.: Hypertens Res 2017; 40: 51-60*
  • 12) 齊藤郁夫, ほか:血圧 2017:24; (282-288) *274
  • 13) 西村誠一郎, ほか: 血圧 2018; 25(11): 776-784*
  • 14) 2019年2月20日 厚生労働省保険局医療課事務連絡

*本試験は日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社の支援により行われた。

PC
2019年3月作成

図1 降圧薬処方薬剤数とアドヒアランスの関係

図2 3剤配合薬におけるアドヒアランスと治療継続率

図3 ミカトリオ配合剤が医療に与える影響 生涯にわたる合併症医療費と慢性期医療費(薬剤費を除く)

図4 ミカトリオ配合錠をご処方いただくにあたってのお願い