オフェブ 診療サポートIPF抗線維化療法の重要性

IPF抗線維化療法の重要性と抗線維化薬の位置づけ

IPFは、治癒が期待できない慢性進行性疾患であり、各種がんと比べても予後不良です。

IPFは、高度の線維化が進行し、不可逆性の蜂巣肺形成をきたす、治癒が期待できない疾患です。そのため、IPFの治療においては進行抑制が現実的な目的となり、疾患の早期からの治療導入による疾患進行抑制が重要となります。
疾患が進行した患者では、急性増悪の発現リスクが高くなるため、急性増悪の予防が重要です。

IPFの臨床経過(概念図)

IPFの臨床経過(概念図)

IPF患者の生存期間中央値は、診断されてから約3年と報告されています。

IPF患者の生存曲線(北海道Study)

IPF患者の生存曲線(北海道Study)

海外の報告では、IPF患者の5年生存率は20~40%と示されており1)、各種がんと比べても予後不良の疾患といえます2)

IPF患者とがん患者の5年生存率(海外データ)

IPF患者とがん患者の5年生存率(海外データ)

国内外の手引き、治療ガイドラインにおいて、IPFに対する薬物療法としてオフェブの使用が記載されています。

日本の「特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き(改訂第3版)」では、IPFに対する第一選択薬として、抗線維化薬が推奨されています。

日本の「特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き」における抗線維化薬の記載

  • IPFの中心的な主要病態として、気道上皮細胞に対する慢性的な障害から、慢性の線維化が生じてくる過程が考えられている。このため、IPFに対しての第一選択薬として、抗線維化薬が用いられる。
  • IPFにおいては、上皮障害とそれに引き続く持続的な線維芽細胞巣(fibroblastic foci)の増生・進行性の線維化が基本的な病態と理解されるに至り、抗線維化薬が薬物治療の中心的な役割を果たすものと考えられている。

日本呼吸器学会 びまん性肺疾患 診断・治療ガイドライン作成委員会 編:
特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き(改訂第3版) 南江堂, 2016, p.54, 116より作成

日本における「特発性肺線維症の治療ガイドライン」では、IPFに対するオフェブの投与について「慢性安定期のIPF患者に投与することを提案する」と明記されています。

日本のIPFの治療ガイドラインにおけるオフェブの位置づけ

ステートメント 推奨の強さ エビデンスの質
慢性安定期のIPF患者にニンテダニブを投与することを提案する 2 B

参考:本ガイドラインにおける推奨の強さの用語およびエビデンスの質について

推奨の強さ 表現 数字
強い推奨 ~する/しないことを推奨する 1
弱い推奨 ~する/しないことを提案する 2
エビデンスの質 記号
A
B
C
非常に低 D

「日本呼吸器学会監修、厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業
「びまん性肺疾患に関する調査研究」班特発性肺線維症の治療ガイドライン作成委員会監修:
特発性肺線維症の治療ガイドライン 南江堂, 2017, p.14」より許諾を得て転載

IPFの国際治療ガイドライン(ATS/ERS/JRS/ALATガイドライン2015)では、IPFに対するオフェブの投与を「使用を条件付き推奨」と明記されています。

国際治療ガイドラインにおけるオフェブの位置づけ

治療薬 2015年ガイドライン
ステロイド単剤療法 使用しないことを強く推奨
シクロスポリンA 使用しないことを強く推奨
ステロイド+免疫抑制剤併用療法 使用しないことを強く推奨
抗凝固療法(ワルファリン) 使用しないことを強く推奨*
プレドニゾン+アザチオプリン+N-アセチルシステイン(経口)併用療法 使用しないことを強く推奨
選択的エンドセリン受容体拮抗薬(アンブリセンタン) 使用しないことを強く推奨
イマチニブ 使用しないことを強く推奨*
ニンテダニブ 使用を条件付き推奨*
ピルフェニドン 使用を条件付き推奨*
非選択的エンドセリン受容体拮抗薬(マシテンタン、ボセンタン) 使用しないことを条件付き推奨
ホスホジエステラーゼ5阻害薬(シルデナフィル) 使用しないことを条件付き推奨*
N-アセチルシステイン(経口)単剤療法 使用しないことを条件付き推奨

*:⊕⊕⊕⊖,推定効果の確信度が中等度、†:⊕⊕⊖⊖,推定効果の確信度が低い

「日本呼吸器学会 びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会編:特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き,
改訂第3版, 南江堂, 2016, p.54」より許諾を得て改変し転載

文献
1) Kim DS, et al. Proc Am Thorac Soc 2006; 3: 285-292.
2) du Bois RM. Eur Respir Rev 2012; 21: 141-146.

オフェブの有効性・安全性

オフェブは、IPF患者の呼吸機能の低下を抑制し、予後の改善が期待できる薬剤です。

IPF患者を対象にオフェブを52週間投与したINPULSIS試験では、オフェブはプラセボに対して主要評価項目であるFVC年間減少率の低下を有意に抑制しました(オフェブ群-113.6mL/年 vs. プラセボ群-223.5mL/年、群間差109.9mL/年、95%CI:75.9~144.0、p<0.001、ランダム係数回帰モデル)1)
さらに、INPULSIS試験の完遂例を対象に行われたINPULSIS-ON試験では、192週間におけるFVC年間減少率は、オフェブ継続投与群で-145.0mL/年、オフェブ新規投与群で-119.7mL/年でした。

FVC年間減少率(INPULSIS-ON試験、探索的有効性評価項目)

FVC年間減少率(INPULSIS-ON試験、探索的有効性評価項目)

INPULSIS試験のサブグループ解析では、呼吸機能が比較的保たれている%FVCが70%超の患者集団についても、オフェブによるFVC低下抑制作用が確認されました。

%FVC別のFVC年間減少率(INPULSIS試験、サブグループ解析)

%FVC別のFVC年間減少率(INPULSIS試験、サブグループ解析)

さらにINPULSIS試験のサブグループ解析において、IPFに特徴的なHRCT所見である蜂巣肺の有無別にFVC年間減少率を検討した結果、蜂巣肺の有無に関わらずオフェブはプラセボに対してFVCの低下を抑制しました。

蜂巣肺の有無別のFVC年間減少率(INPULSIS試験、サブグループ解析)

蜂巣肺の有無別のFVC年間減少率(INPULSIS試験、サブグループ解析)

TOMORROW試験およびINPULSIS試験の併合解析において、オフェブは、プラセボに対して、急性増悪の発現リスクを有意に低下させることが示されました(52週時)。

初回急性増悪発現までの期間(試験参加医師の報告)(TOMORROW試験およびINPULSIS試験の併合解析、副次評価項目

初回急性増悪発現までの期間(試験参加医師の報告)(TOMORROW試験およびINPULSIS試験の併合解析、副次評価項目※)

TOMORROW試験およびINPULSIS試験の併合解析において、オフェブは、プラセボに対して治療期間中の死亡リスクを有意に低下させることが示されました。

治療期間中の死亡(TOMORROW試験およびINPULSIS試験の併合解析、副次評価項目)

治療期間中の死亡(TOMORROW試験およびINPULSIS試験の併合解析、副次評価項目)

オフェブの長期投与による安全性についてご紹介します。

オフェブの長期投与(最大68ヵ月まで)時の忍容性は良好で、有害事象の多くは管理可能であり、安全性に関する新たな問題は認められませんでした。

  • 有害事象の発現率は、オフェブ継続投与群98%(422例/430例)、オフェブ新規投与群99%(301例/304例)でした。最も多く認められた有害事象は下痢でした。
  • 重篤な有害事象は、オフェブ継続投与群では70%、オフェブ新規投与群では68%でした。
  • 投与中止に至った有害事象は、オフェブ継続投与群では40%、オフェブ新規投与群では46%でした。いずれかの群で10%超みられた、投与中止に至った有害事象は、IPFの進行(オフェブ継続投与群:12%、オフェブ新規投与群:14%)、下痢(5%、10%)でした。

主な有害事象

主な有害事象

文献
1)Richeldi L. et al.: N Engl J Med 2014; 370: 2071-2082.

医療費助成制度

IPFは厚生労働大臣が定める疾病(指定難病)の1つで、治療中の経済的負担を減らすことを目的としたさまざまな医療費助成制度が設けられています。

IPF治療では、難病医療費助成制度や高額療養費制度を活用することで治療中の経済的負担を減らせる可能性があります。

難病医療費助成制度とは?難病医療費助成制度は、厚生労働大臣が定める疾病(指定難病)の患者さんで、症状が一定程度以上または高額な医療費を支払っている場合、医療費が助成され自己負担が軽減される制度です。高額療養費制度とは?高額療養費制度は、高額な医療費による経済的負担を軽くするため医療機関へ支払った自己負担額が自己負担限度額を超えた場合に、その超えた分の支給を受けられる制度です。

制度を活用した場合の医療費自己負担額は患者の重症度、年齢、所得によって異なります。重症度Ⅰ、またはⅡ度の場合、まずは高額療養費制度を活用し、その後難病医療費助成制度を活用することで段階的に自己負担額を軽減できる可能性があります。

医療費助成制度を活用した際の医療費自己負担額のイメージ(重症度Ⅰ、Ⅱ度の一例)

医療費助成制度を活用した際の医療費自己負担額のイメージ(重症度Ⅰ、Ⅱ度の一例)

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2019年1月作成