オフェブ 診療サポートIPF抗線維化療法の重要性

QOLを維持した治療を目指すオフェブの副作用マネジメント
第3回 オフェブの副作用マネジメントの実践例

監修:富井 啓介 先生
(神戸市立医療センター中央市民病院 呼吸器内科部長 副院長)

特発性肺線維症(IPF)は治癒が期待できない致死的な疾患であり、早期からの治療導入による疾患進行抑制が重要となります。また、疾患が進行した患者さんでは、急性増悪の発現リスクが高くなるため、急性増悪の予防が求められます。急性増悪は、患者さんの予後悪化につながります。

急性増悪は重症度の程度にかかわらず認められ、重症度Iでも起こることがあります。したがって、IPF診療では、いつ起こるかわからない急性増悪を予防するために、薬物療法による管理が大切です。長期にわたる薬物療法は、患者さんの生活に支障を来さないように、食欲不振や体重減少などをマネジメントしながら行うことが重要です。

このように患者さんのQOLを損なわずに、長期にわたる薬物療法を成功させるためには、医師だけでなく、多職種協働による、病気の進行にあわせた多面的なサポートが必要だと考えています。

IPFは進行性で予後不良な疾患であるという点においては進行がんとほとんど同じです。しかし、IPF患者さんにはがん患者さんに比べると社会的なサポートが少なく、病気のことを相談できる相手や場がないのが現状です。そのような中、チーム医療で多職種が患者さんに関わることによって、患者さんの全体像をとらえて適切なアドバイスを行うことが可能となります。たとえば、医師に話しづらいことも、薬剤師や看護師には話したりすることがあるようです。その内容をカルテで詳しく共有することで、医師も手に取るように知ることができます。

当院では、呼吸器内科医3名、呼吸器内科病棟担当薬剤師3名、呼吸器内科病棟看護師3~5名、呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)担当の理学療法士2~3名、管理栄養士2名、メディカルソーシャルワーカー(MSW)1名からなる間質性肺炎サポートチームを設置しています。

チームでは、多職種間で連携を取りながら、IPF患者さんをはじめとした間質性肺炎患者さんのサポートを行っています。患者さんは呼吸器内科外来を受診した日(以降、外来受診日)と同日に、ハンドブックを持って必要に応じて薬剤師外来や看護師外来などの他職種による外来を受診します。

当院では、IPF診療に関わるそれぞれの職種が以下のような役割を果たしています。

医師

医師
治療方針の決定や副作用マネジメントにおける中心的な役割を担います。多職種によるサポートが必要な患者さんをピックアップし、薬剤師外来や看護師外来などへ依頼します。

薬剤師

薬剤師
医師が抗線維化薬の新規導入を決めたら、処方薬剤の効果、服用方法、副作用の対処方法などを患者さんに説明します。また、服薬アドヒアランスや副作用の発現状況などを確認し、医師に副作用に対する薬剤の追加処方や、抗線維化薬の減量などの処方提案を含めた情報提供を行います。

看護師

看護師
医師が在宅酸素療法(HOT)の新規導入を決めたら、HOTの機種選択と指導、酸素流量の設定提案、生活指導などを行います。最近は、遠隔医療システムを利用して酸素の使用状況(流量、時間)を病院でも把握できるので、それを基にした指導もしています。

理学療法士

理学療法士
医師の呼吸リハ指示書に基づき、患者さんに自宅で行う筋力トレーニングなどの呼吸リハの方法(自主練習)などを指導します。初回だけではなく、その後もきちんと継続されているか否かを確認するとともに、3ヵ月ごとの定期評価の実施とその結果を踏まえての再指導を行います。

管理栄養士

管理栄養士
医師からの依頼を受けて、栄養相談と食物摂取頻度調査(FFQg)を行います。その後、必要時に介入して、6ヵ月後にFFQgを再度評価し栄養相談を行います。

MSW

MSW
必要に応じて、社会資源活用支援、指定難病認定支援、身体障害者認定などを行います。
医師

間質性肺炎サポートチームを発足して以来、服薬継続率が高くなったと感じています。患者さんは、医師の診察時には副作用などについて細かく訴えませんが、薬剤師外来では薬剤師が詳細に聞き取り、具体的に対処法を指導しています。私はこれが服薬継続につながっているのだと思います。施設によっては、すべての職種が関わることは難しいかもしれませんが、少なくとも薬物療法導入時に薬剤師との連携があることは大きなメリットだと思います。

また、患者さんのQOLが上がったように感じています。以前は、デサチュレーションを恐れて積極的に動かない患者さんが多くいましたが、サポートチームで介入するようになってからは、酸素を携帯してでも外出して体を動かすように努力されている患者さんが増えた印象があります。

IPFの診療にあたっては、医師は1人で患者さんを抱え込まないでほしいと思います。負担を背負い込むことなく、多職種と連携を取りながら多面的なサポートを行っていくことがIPF患者さんのためになると思っています。

pc

2019年8月作成

特発性肺線維症(IPF)の臨床経過と治療の意義

間質性肺炎サポートチーム

IPFにおける間質性肺炎サポート介入の流れ