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IPF診断の流れ

IPF診断の流れは?

アメリカ胸部医学会(ATS)/ヨーロッパ呼吸器学会(ERS)/日本呼吸器学会(JRS)/ラテンアメリカ胸部医学会(ALAT)の国際診断ガイドライン(2018年)で示されているIPF診断の流れは、次の通りです1)
IPFが疑われた場合、まず、原因の明らかな間質性肺疾患(家庭・職業の環境曝露、膠原病、薬剤性など)を除外します。
次に、HRCTによりUIPパターンの有無を確認し、UIPパターンが認められた場合は、専門医による集学的検討(MDD)により、IPFの確定診断を行います。
一方、HRCT所見で明らかなUIPパターンが認められない場合は、外科的肺生検による病理組織検査を行い、MDDにてHRCT所見と外科的肺生検の病理組織パターンの組み合わせにより、確定診断します。

ATS/ERS/JRS/ALAT国際診断ガイドライン(2018年)におけるIPF診断のアルゴリズム

ATS/ERS/JRS/ALAT国際診断ガイドライン(2018年)におけるIPF診断のアルゴリズム

†外科的肺生検は術中、周術期、術後合併症が高リスクの患者[例えば、安静時低酸素血症が重度および/または重度の肺高血圧症(ヘマトクリット補正後、肺拡散能25%未満)]には適応されない。外科的肺生検は、家族性の患者の場合は不要である可能性がある。経気管支肺生検および/または凍結肺生検に対しては肯定/否定のいずれの推奨もされていないが、実施した場合、一部の患者では病理組織学的所見により診断できる場合もある。

IPFが疑われる患者(つまり、原因不明の症候性/無症候性の両側性肺浸潤影を胸部X線写真または胸部CT像で認め、両肺底部における吸気時の捻髪音、年齢60歳以上など)や、原因不明の労作時呼吸困難および/または間質性肺炎(ILD)に伴う咳嗽を有する患者では、家庭・職業の環境曝露、膠原病、薬剤性などのILDの潜在的な原因および/または特定可能な原因について、慎重に評価するべきである。中年層(40歳超、60歳未満)、特に家族性肺線維症のリスクを有する患者は、60歳以上の典型的な患者と同じような臨床経過を示すことはまれである。潜在的なILDの原因が特定された場合、過敏性肺炎、膠原病、塵肺など他の既知の原因や医原性原因(薬剤性、放射線照射など)を確定・除外する。特定の診断がつかなかったり、潜在的なILDの原因が特定されない場合、IPF診断の確定もしくは除外には、胸部HRCT画像のパターンやMDD過程で明らかになった臨床所見によりさらなる評価が必要である。HRCTパターンと病理組織パターンとの適切な組み合わせにより、IPFの診断が可能である。

文献

  1. 1)Raghu G, et al. Am J Respir Crit Care Med 2018; 198: e44-e68.

IPF診断の流れにおける検査の推奨

アメリカ胸部医学会(ATS)/ヨーロッパ呼吸器学会(ERS)/日本呼吸器学会(JRS)/ラテンアメリカ胸部医学会(ALAT)の国際診断ガイドライン(2018年)において、IPF診断の流れにおける検査の推奨が示されました。

ATS/ERS/JRS/ALAT国際診断ガイドライン(2018年)における検査の推奨1)

  HRCTパターン*がProbable UIP、Indeterminate、Alternative Diagnosis HRCTパターン*がUIP
BAL細胞分析 BAL細胞分析の実施を提案する(条件つき) BAL細胞分析を実施しないことを提案する(条件つき)
外科的肺生検 外科的肺生検の実施を提案する(条件つき) 外科的肺生検を実施しないことを推奨する(強い)
経気管支肺生検 経気管支肺生検に対して、肯定/否定のいずれの推奨もしない 経気管支肺生検を実施しないことを推奨する(強い)
肺凍結生検 肺凍結生検に対して、肯定/否定のいずれの推奨もしない 肺凍結生検を実施しないことを推奨する(強い)
薬剤使用歴と環境曝露歴 ILDの潜在的要因を除外するために、薬剤使用歴や家・職場・患者がよく訪れる他の場所における環境曝露について詳細な聴取を推奨する(motherhood statements)
膠原病を除外する血液学的検査 ILDの潜在的要因を除外するために、膠原病を除外する血液学的検査を推奨する(motherhood statements)
MDD 方針決定のためのMDDを提案する(条件つき)
血清バイオマーカー 他のILDとIPFを識別する目的で血清MMP-7、SPD、CCL-18またはKL-6を測定しないことを推奨する(強い)

本ガイドラインにおける、すべての推奨に関するエビデンスの質は、“非常に低い”であった。
* HRCTパターンは、2011年の国際ガイドラインの3分類から、2018年の本ガイドラインでは4分類に改訂された。

参考:本ガイドラインにおける、強いまたは条件つき推奨の意味1)

  強い推奨(…推奨する) 条件つき推奨(…提案する)
患者向け この状況にある圧倒的多数が推奨される介入を希望し、希望しない人はごく少数である この状況にある大多数は提案される介入を希望するが、希望しない人も多い
臨床医向け 圧倒的多数は、推奨される介入を受ける/ガイドラインに従い推奨を遵守することは、判断基準または行動指標として使用できる/患者が自らの価値観や好みに合う決断を下すために、意思決定支援ツールは必要とされないだろう 患者ごとに適切な選択があり、また、患者が自らの価値観や好みに合う決断に至るように支援しなければならない/意思決定支援ツールは、それぞれの価値観や好みに合う決断をするのに役立つだろう/臨床医は、決断に向けてより多くの時間を患者と共に費やすべきである
政策立案者向け 本推奨は、行動指標としての使用を含め、ほとんどの場合、政策として採用できる 政策立案のためには、十分な話し合いと多くの関係者の関与を必要とするだろう/政策はおそらく地域間で変わるだろう/達成指標は、マネジメントオプションに関して十分な審議が行われたという事実に焦点を当てなければならない

文献

  1. 1)Raghu G, et al. Am J Respir Crit Care Med 2018; 198: e44-e68.

特発性間質性肺炎(IIPs)における鑑別診断は?

IPFを含むIIPsの診断では、複数の疾患との鑑別が重要になります。心不全や感染症などの臨床的に類似した他疾患との鑑別に加えて、職業性や薬剤性、膠原病などにより起こる間質性肺炎の除外が必要です。
鑑別にあたっては、気管支肺胞洗浄(BAL)や経気管支肺生検(TBLB)などの気管支鏡検査が行われることがあります。BALの所見は補助的診断として用いられ、感染症や肺胞蛋白症、ランゲルハンス細胞組織球症、悪性腫瘍などとの鑑別に有用です。BALの所見において、リンパ球単独の増加が認められる場合にはIPF以外の間質性肺炎[特発性器質化肺炎(COP)、非特異性間質性肺炎(NSIP)]の可能性が示唆されます1)。また、急性間質性肺炎(AIP)では好中球が、好酸球性肺炎では好酸球の増加がみられます1)
TBLBは悪性腫瘍、感染症、肉芽腫性疾患、好酸球性肺炎、薬剤性肺疾患、肺胞蛋白症、アミロイドーシスなどを鑑別する上で重要です。

IIPsにおける鑑別除外診断2)

鑑別除外診断
(1) 心不全
(2) 肺炎(特に異型肺炎)
(3) 既知の原因による急性肺傷害(ALI)
(4) 膠原病
(5) 血管炎
(6) サルコイドーシス
(7) 過敏性肺炎
(8) じん肺
(9) 放射線肺炎
(10) 薬剤性肺炎
(11) 好酸球性肺炎
(12) びまん性汎細気管支炎
(13) 癌性リンパ管症
(14) 肺胞上皮癌
(15) リンパ脈管筋腫症(LAM)
(16) 肺胞蛋白症
(17) ランゲルハンス細胞組織球症

文献

  1. 1)日本呼吸器学会 びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会. 第Ⅱ章 診断の進め方. In: 特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き(改訂第3版). 東京: 南江堂; 2016: 5-43.
  2. 2)厚生労働省. 指定難病一覧(概要、診断基準等・新規申請用臨床調査個人票), 特発性間質性肺炎 概要、診断基準等; http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089948.pdf

pc

2018年11月作成