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IPF診断の流れ

日本におけるIPF診断の流れは?

IPF診断は、病歴、身体所見、画像検査、呼吸機能検査および外科的肺生検などに基づいて行われます。
「特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き(改訂第3版)」で示されているIPF診断の流れは、次の通りです1)
IPF診断では、まず、原因の特定できる間質性肺疾患を除外する必要があります。
IPFが疑われる場合、高分解能CT(HRCT)による画像診断が必須になります。HRCT所見で典型的なUIPパターンに合致する場合は、「臨床的IPF」と診断され、IPFの確定診断に外科的肺生検は必要ありません。
一方、HRCT所見でUIPパターンに合致しないpossible UIPパターンあるいはinconsistent with UIPパターンの場合は、気管支鏡検査や外科的肺生検を実施して、経験を積んだ呼吸器専門医、画像診断医、病理診断医による集学的検討(MDD:multidisciplinary discussion)を行い、総合的にIPFと診断します。ただし、蜂巣肺が不鮮明など非典型的な画像所見を有するIPF症例も少なくなく2)、HRCT所見でpossible UIPパターンあるいはinconsistent with UIPパターンであっても、呼吸機能や進行経過(behavior)を総合して、外科的肺生検を実施せずに「臨床的IPF」と判断する症例があると明記されています。

特発性間質性肺炎(IIPs)診断のためのフローチャート

特発性間質性肺炎(IIPs)診断のためのフローチャート

「日本呼吸器学会びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会編:特発性間質性肺炎診断と治療の手引き,
改訂第3版, p.5, 2016, 南江堂」より許諾を得て抜粋改変し転載

文献

  1. 1)日本呼吸器学会 びまん性肺疾患 診断・治療ガイドライン作成委員会. 第Ⅱ章 診断の進め方. In: 特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き(改訂第3版). 東京: 南江堂; 2016: 5.
  2. 2)Sverzellati N. Respir Res 2013; 14(Suppl 1): S3.

特発性間質性肺炎(IIPs)における鑑別診断は?

IPFを含むIIPsの診断では、複数の疾患との鑑別が重要になります。心不全や感染症などの臨床的に類似した他疾患との鑑別に加えて、職業性や薬剤性、膠原病などにより起こる間質性肺炎の除外が必要です。
鑑別にあたっては、気管支肺胞洗浄(BAL)や経気管支肺生検(TBLB)などの気管支鏡検査が行われることがあります。BALの所見は補助的診断として用いられ、感染症や肺胞蛋白症、ランゲルハンス細胞組織球症、悪性腫瘍などとの鑑別に有用です。BALの所見において、リンパ球単独の増加が認められる場合にはIPF以外の間質性肺炎[特発性器質化肺炎(COP)、非特異性間質性肺炎(NSIP)]の可能性が示唆されます1)。また、急性間質性肺炎(AIP)では好中球が、好酸球性肺炎では好酸球の増加がみられます1)
TBLBは悪性腫瘍、感染症、肉芽腫性疾患、好酸球性肺炎、薬剤性肺疾患、肺胞蛋白症、アミロイドーシスなどを鑑別する上で重要です。

IIPsにおける鑑別除外診断

鑑別除外診断
(1) 心不全
(2) 肺炎(特に異型肺炎)
(3) 既知の原因による急性肺傷害(ALI)
(4) 膠原病
(5) 血管炎
(6) サルコイドーシス
(7) 過敏性肺炎
(8) じん肺
(9) 放射線肺炎
(10) 薬剤性肺炎
(11) 好酸球性肺炎
(12) びまん性汎細気管支炎
(13) 癌性リンパ管症
(14) 肺胞上皮癌
(15) リンパ脈管筋腫症(LAM)
(16) 肺胞蛋白症
(17) ランゲルハンス細胞組織球症

文献 2)

文献

  1. 1)日本呼吸器学会 びまん性肺疾患 診断・治療ガイドライン作成委員会. 第Ⅱ章 診断の進め方. In: 特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き(改訂第3版). 東京: 南江堂; 2016: 5-43.
  2. 2)厚生労働省. 指定難病一覧(概要、診断基準等・新規申請用臨床調査個人票), 特発性間質性肺炎 概要、診断基準等; http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089948.pdf

海外におけるIPF診断の流れは?

アメリカ胸部医学会(ATS)/ヨーロッパ呼吸器学会(ERS)/日本呼吸器学会(JRS)/ラテンアメリカ胸部医学会(ALAT)の国際ガイドライン(2011年)で示されているIPF診断の流れは、次の通りです1)
IPFが疑われた場合、まず、原因の明らかな間質性肺疾患(家庭・職業の環境曝露、膠原病、薬剤性など)を除外します。
次に、HRCTによりUIPパターンの有無を確認し、UIPパターンが認められた場合は、IPFと診断されます。
一方、HRCT所見で明らかなUIPパターンが認められない場合は、外科的肺生検による病理組織検査を行い、HRCT所見と外科的肺生検の病理組織パターンの組み合わせにより、確定診断します。

ATS/ERS/JRS/ALATの国際ガイドラインにおける診断フローチャート

ATS/ERS/JRS/ALATの国際ガイドラインにおける診断フローチャート

IPFが疑われる患者(原因不明の労作時呼吸困難および/または咳嗽を伴い、間質性肺疾患所見のある患者など)に対して、原因の明らかな間質性肺疾患を慎重に評価し、除外する。その上で、HRCTによるUIPパターンの有無によりIPFを診断する。HRCT画像所見がUIPパターンを満たさない場合は、外科的肺生検の病理パターンとの組み合わせにより、IPFの診断が可能である。専門医による集学的検討(MDD)を行うことにより、精度高く診断できる。

文献 1)

文献

  1. 1)Raghu G, et al. Am J Respir Crit Care Med 2011; 183: 788-824.