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IPFの病態

IPFにおける肺の線維化機序は?

【イントロダクション】

IPFは、加齢や喫煙などをリスク因子とする、慢性かつ進行性の線維化を伴う予後不良な肺疾患です。通常、肺胞上皮細胞が傷害を受けると、線維芽細胞や筋線維芽細胞の働きにより修復されます。しかしながら、肺胞上皮細胞に繰り返し傷害が加わり過剰な修復反応が生じることによって、線維化が引き起こされると考えられています。

  • 監修:徳島大学大学院医歯薬学研究部
    呼吸器・膠原病内科学分野
    教授 西岡 安彦 先生

【肺の修復機能】

健康な肺では、肺胞上皮細胞により形成される毛細血管関門に傷害を受けると、サイトカインをはじめとする各種メディエーターの放出や、線維化反応が引き起こされます。その過程において、線維芽細胞や筋線維芽細胞によるコラーゲンなどの細胞外基質の蓄積が起こり、組織が修復されていきます。
通常、これらの細胞は、組織修復後にアポトーシスに至り、細胞外基質は再吸収され、それに伴い基底膜や上皮が再形成されます。

  • 監修:徳島大学大学院医歯薬学研究部
    呼吸器・膠原病内科学分野
    教授 西岡 安彦 先生

【IPFの病態生理】

IPFでは、肺胞上皮細胞が慢性的に傷害を受けることで、過剰な修復反応が引き起こされます。この過程には線維芽細胞の集積、遊走、増殖および線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化転換(形質転換)が関与しています。線維芽細胞と筋線維芽細胞は、アポトーシスを回避し、継続的なコラーゲン沈着をもたらします。
また、肺に存在する線維芽細胞に加えて、循環血中のfibrocyte、マクロファージ、肺胞上皮細胞の上皮間葉転換が、IPFにおける肺の線維化プロセスに関与していると考えられています。

こうした細胞の作用は、様々な増殖因子の受容体への結合から始まる下流シグナル伝達の活性化を介して誘導されると考えられています。肺の線維化に関わる増殖因子として、TGF-βやPDGF、FGFなどがあります。

肺の線維化に関わる主な増殖因子

TGF-β 線維化をきたす強力なメディエーターであり、炎症と組織恒常性を維持する因子。線維芽細胞の増殖、線維芽細胞から筋線維芽細胞への形質転換やコラーゲン産生を促進すると考えられている。
PDGF 線維芽細胞の強力な増殖促進因子。線維芽細胞と筋線維芽細胞の増殖、遊走および寿命の延長を促進することにより、肺の損傷部位における線維芽細胞と筋線維芽細胞の増加に重要な役割を果たしていると考えられている。
FGF 傷害部位への線維芽細胞と筋線維芽細胞の集積、遊走および増殖を促進すると考えられている。

TGF-β:トランスフォーミング増殖因子-β
PDGF:血小板由来増殖因子
FGF:線維芽細胞増殖因子

  • 監修:徳島大学大学院医歯薬学研究部
    呼吸器・膠原病内科学分野
    教授 西岡 安彦 先生