INPULSIS-ON試験(長期的な安全性、忍容性を検証)
オフェブ長期投与試験におけるFVC低下抑制
INPULSIS-ON試験では、オフェブ継続投与群、オフェブ新規投与群において一貫したFVCの低下抑制がみられました。ここでは、海外のエキスパートドクターにオフェブ長期投与時のFVCに対する有効性評価のポイントについてお話を伺いました。
National Heart and Lung Institute, Imperial College, London, UK
Prof. Toby Maher
Respiratory Medicine, Catholic University of the Sacred Heart, Rome, Italy
Prof. Luca Richeldi
INPULSIS-ON試験:FVC年間減少率(探索的評価項目)
192週におけるFVC年間減少率は、オフェブ継続投与群では-145.0mL/年、 オフェブ新規投与群では-119.7mL /年でした(INPULSIS試験のオフェブ群では-113.6mL/年)。

Crestani B. et al.: Lancet Respir Med 2018 Sep 14. pii: S2213-2600(18)30339-4.
doi: 10.1016/S2213-2600(18)30339-4. [Epub ahead of print]
本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。
INPULSIS-ON試験:FVC経時的変化

Crestani B. et al.: Lancet Respir Med 2018 Sep 14. pii: S2213-2600(18)30339-4.
doi: 10.1016/S2213-2600(18)30339-4. [Epub ahead of print]
本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。
第Ⅲ相国際共同試験:INPULSIS-ON試験
【試験デザイン】INPULSIS試験のオープンラベル延長試験
【対象・方法】INPULSIS試験完遂後、4週間の追跡期間を完了した患者をINPULSIS-ON試験に登録し、オープンラベルでオフェブを投与した。INPULSIS試験終了時にオフェブ150mg 1日2回投与またはプラセボ投与であった患者は、オフェブ150mg 1日2回投与とした。オフェブ100mg 1日2回投与またはプラセボ投与であった患者は、試験参加医師との話し合いに基づき、オフェブ100mg 1日2回または150mg 1日2回の投与とした。試験期間中の100mg 1日2回から150mg 1日2回投与の増量、有害事象による減量や休薬を許容した。
【主要評価項目】オフェブ長期投与の安全性・忍容性
【探索的有効性評価項目】192週におけるFVC年間減少率、ベースラインから192週後のFVC絶対変化量、初回急性増悪発現までの期間、死亡までの期間
【解析計画】192週間におけるFVC年間減少率について、患者背景別(性別、年齢、人種、FVC、INPULSIS-ON試験開始時の併用薬)にサブグループ解析を実施した。また、併用療法の有無別、INPULSIS-ON試験におけるオフェブの用量別(150mg 1日2回投与、100mg 1日2回投与、両用量の投与)、用量調整別(減量および休薬あり、減量のみあり、休薬のみあり、休薬および減量なし)、用量強度別にもサブグループ解析を実施した。
【安全性】有害事象の発現率は、オフェブ継続投与群98%(422例/430例)、オフェブ新規投与群99%(301例/304例)。主な有害事象は、オフェブ継続投与群では下痢、気管支炎、IPFの進行、鼻咽頭炎、咳嗽であり、オフェブ新規投与群では下痢、鼻咽頭炎、悪心、IPFの進行、気管支炎であった。重篤な有害事象は、オフェブ継続投与群70%、オフェブ新規投与群68%。投与中止に至った有害事象は、オフェブ継続投与群40%、オフェブ新規投与群46%であり、投与中止に至った主な有害事象は、IPFの進行、下痢、悪心、呼吸不全であった。
【統計解析手法】192週までのFVC年間減少率:ランダム係数回帰モデルにより推定:性別、年齢、身長を固定効果、患者効果(切片と傾き)と時間を変量効果としてランダム係数回帰モデルに含めた。
2018年10月作成
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急性増悪と死亡率について
INPULSIS-ON試験の結果より、オフェブはIPFにおける長期間のFVC低下抑制効果に加えて、急性増悪の抑制および長期予後の改善が期待できることから、IPF患者の第一選択薬になり得ると考えられます。
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下痢、肝機能、出血について
オフェブの長期投与による安全性について、なかでも下痢、肝酵素上昇、出血リスクについてご紹介します。INPULSIS-ON試験によって、新たにオフェブの長期的安全性情報が示されたことは臨床的に有意義であったと考えます。
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FVC年間減少率、減量による影響について
INPULSIS-ON試験では、試験期間中にオフェブを減量した患者さんが約3割いたにもかかわらず、FVCの低下抑制が認められました。副作用を管理しながらオフェブの使用を中止することなく継続的に使用することの重要性が示されたと考えています。