プラザキサ 診療サポート薬剤師レポート
ザ・プロフェッショナル ~私の服薬指導術~

第4回 アドヒアランス向上のために
薬局の外に出て積極的に患者さんの近くへ

薬剤師の先生の取り組みをご紹介いたします。

おろそかにしない基本の説明

Q1.プラザキサの服薬指導では、どのような点に注意されていますか。

有限会社メディカほし薬局 代表取締役 星 利佳 先生
有限会社
メディカほし薬局
代表取締役
星 利佳 先生
星:

本当に基本的なことが中心で、「コップ1杯の水で飲む」「食事中に飲む」ことのほか出血時の対応などを添付の参考資料をお見せしながら説明しています(参考資料12)。

基本的な説明でもおろそかにしてはいけないなと実感したエピソードがあります。「コップ1杯の水で飲む」と説明すれば間違えようがないように思えますよね。ところが、降圧薬を服用中の患者さんが朝の薬を飲み忘れたということでそのぶんを局内で飲んでもらったところ、顔をくっと上げて勢いをつけるようにごくりと飲み込んだのです。

あごを引いて、水と一緒に飲み込みます。

顔を上に向けるのは、わざわざのどを狭くして薬を飲みにくくしているようなものですから「えっ」と驚いたのですが、同じような飲み方の方がプラザキサ服用中の患者さんにもいるかもしれないと思ってたずねてみると、やはりそうでした。
ですからプラザキサをスムーズに服用できるように、あごを引いてのどの奥を広げるようにして飲むとよいですよ、と患者さんにはお話ししています。

もう一つ印象に残っているのは、何気なく耳にした患者さんの会話です。「俺はこれくらいの薬なら、ほとんど水なしで飲めるよ」「いや、俺なんか…」と、薬を飲む水の「少なさ自慢」をしていたのです(笑)。夜間頻尿を抑えたいといった気持ちがあるのかもしれませんが、さすがに聞き流せない内容でしたので、コップ1杯の水でしっかりと薬を胃に届ける大切さを説明しました。
このような経験があったので、高齢の方や独居の方を中心に、きちんとプラザキサを服用できているか少しでも気になる方がいたら「午後からちょっとお茶飲みに行っていい?」と、様子を伺いに出かけています。

Q2.在宅での服薬指導の様子についても教えていただけますか。

星:

ご自宅にお邪魔すると、漬物や煮物を用意してくれたり近所の方も一緒に待っていたり、意外と皆さん歓迎してくれます。訪問中に薬の話は少ないのですが(笑)、「何時のTVをみながら食事をしてプラザキサを飲み…夕食後は早めに布団に入って…」といった患者さんの話から、服薬リズムや生活パターンを知る手がかりがつかめます。そうすると次回、薬局で薬をお渡しする時に患者さんに合わせたアドバイスができますし、認知症が疑われるようなケースにも早めに気づけると思います。

またご自宅でリラックスしているせいか、併用薬の残薬状況なども患者さんがオープンに教えてくれますし、ご家族と話す機会にもなります。「家族に迷惑をかけたくない」という気持ちから病気についてあまり話していない患者さんや、反対に患者さんの病状がよくわからずにイライラが募っているご家族など、さまざまな事情がみえてくることもありますね。
できる範囲で話を聞いているうちにご家族のストレスが軽くなったのか、「ご家族の方の患者さんへの対応が優しくなったんですよ」と担当ケアマネージャーから伝え聞くこともありました。

在宅支援を志す薬剤師としては依頼を待つだけではなく、こちらから積極的に訪問していく姿勢が必要だと考えています。山形県内の若手薬剤師向け講演会で「お茶飲みに行っていい?」という声かけを話題にしたところ、数日後に出席者から「2軒、お茶飲みに行ってきました」というメールをもらって嬉しかったですね。