プラザキサ 診療サポート薬剤師レポート
ザ・プロフェッショナル ~私の服薬指導術~

第5回 アドヒアランス向上のために
「コップ1杯の水を残さず飲みきる」ことで消化器症状を大きく改善

薬剤師の先生の取り組みをご紹介いたします。

コップ1杯の水できちんと飲む

Q1.プラザキサの服薬指導で最も留意されているのはどんなことですか。

JA北海道厚生連 網走厚生病院 薬剤科 雪田 拓 先生
JA北海道厚生連
網走厚生病院 薬剤科
雪田 拓 先生
雪田:
プラザキサを飲む時には
  • ・コップ1杯の水で流し込むようにプラザキサを飲む
  • ・残った水も全部飲む
という簡単な約束だけは守っていただくようにお伝えしています。患者さんによっては、コップ半分くらいの水で薬を飲めるかもしれませんが、残りの水もきちんと飲みきることが消化器症状を少なく抑えるポイントです。

もちろん食事と一緒にプラザキサを服用することも消化器症状を軽減する上で効果的なのですが、患者さんへの説明をわかりやすくシンプルにするために「コップ1杯の水できちんと飲む」という最も重要なメッセージに絞っています。
プラザキサを服用中の患者さんは高齢の方が中心で、食後に他の薬を飲んでいる場合も多く、プラザキサだけ食事中に服用するというのは難しい面がありますよね。しかし「コップ1杯の水できちんと飲む」というだけなら、どなたでも受け入れやすいと思います。

Q2.消化器症状を抑えるために「コップ1杯の水できちんと飲む」ことが重要ということですが、この点について詳しく教えていただけますか。

雪田:
当院でプラザキサの処方が開始された当初は約2割の中断例があり、その原因を調べたところ胃の不調など消化器症状の関わる事例が多いことに気づきました。脳梗塞を予防するには、適切な用量のプラザキサを毎日2回、確実に服用継続することが大切です。そこで、どうすれば服薬アドヒアランスを高められるのか、約2年間にわたって検討を行いました1)

といっても特別なことをしたわけではなく、先ほど説明したように、プラザキサの用法を忠実に守って「コップ1杯の水で流し込むように飲む」「残った水も全部飲む」という指導を徹底して患者さんにお伝えしただけなのです。指導内容に偏りが出ないように、私ともう一人の薬剤師が患者さんへの説明を担当しました。服薬指導には一定の時間がかかるので患者さんの負担にならないかと心配でしたが、皆さん協力的で「ていねいに説明してもらってありがとうございます」というお礼の言葉をいただいたことが深く心に残っています。
検討の結果、「コップ1杯の水できちんと飲む」という指導を受けたかどうかで、消化器症状の発現数や重症度に違いが現れました。
服薬指導*の変更有無と消化器症状
服薬指導あり 服薬指導なし
17名 25名
消化器症状の発現数 (のべ) 9名 29名
出雲スケール (小さいほどQOL高い) 0.8~1.7 4.4~5.5

*コップ1杯程度の水で流し込むように飲む
雪田、他.医療薬学 2014より作成

表中の「出雲スケール」とは、消化器症状に関する患者QOLを包括的に評価する指標で、数字が小さいほどQOLが高いことを示しています。結果を要約すると、服薬指導を受けた患者さんのほうが消化器症状が少なく、かつ症状も軽度だったということがわかります。

1)雪田拓、他.ダビガトランの服用方法が消化器系有害事象に及ぼす影響.医療薬学 2014: 40(10); 618-624.