プラザキサ 診療サポート薬剤師レポート
ザ・プロフェッショナル ~私の服薬指導術~

第9回 アドヒアランス向上のために
薬薬連携の取り組みで適正使用を進め、服薬アドヒアランスの向上を目指す

薬剤師の先生の取り組みをご紹介いたします。

服薬アドヒアランス向上や業務効率化にもつながる残薬削減の取り組み

Q4. 服薬アドヒアランスを高めるための工夫を教えていただけますか。

小財:
健康日本21推進フォーラムで2013年に実施した“脳梗塞発症リスクの高い心房細動患者のコンプライアンス(服薬遵守)実態調査”によると、抗凝固薬を自己判断で中止した方の4人中3人(77.4%)が「抗凝固薬を服薬しないと脳梗塞の発症リスクが高まることを知らなかった」という結果が報告されております。服薬アドヒアランスを高めるためには、心房細動が脳梗塞の危険性を高めることを知っていただくことが大切なので、服薬指導ではパンフレットを使用したり、著名人の実例を挙げたりして、個々の患者さんの理解度に合わせた説明を心がけています。
今田:
循環器疾患の薬物療法では、合併症の併発や予防のために服用する薬剤数が増加する傾向にあり、中には「一包化した薬だけでお腹がいっぱいになる」とおっしゃる患者さんもおられます。服薬のつらさから自己中断に至らないように、服用の必要性を理解していただくようなていねいな説明を心がけるとともに、症状が安定した後も処方されている薬や患者さんの服薬状況について医師に伝え、薬を整理してさしあげることにも配慮しています。
永井:

一包化の薬で満腹という方には、プラザキサを先に飲んでしっかりと胃に届けると消化器症状を軽減できるメリットを伝え、患者さんが納得して服用できるように注意しています。

どうしても一包化の薬に注意が向いてプラザキサを忘れてしまうという方には「少し時間がかかりますが」と了解いただいた上で、ヒートシートからプラザキサを1カプセルずつハサミで切り分けて一包化の袋にホッチキス留めしてお渡ししています。

もう1つ、アドヒアランス向上の方法として、北海道循環器病院との事前取り決めに基づいた残薬照会システムを導入しています。

Q5. 服薬管理については病院と調剤薬局とで連携をとり、残薬調整なども効率化しているとのことですが、詳しくお聞かせいただけますか。

今田:
さくら薬局とは10年くらい前から協力体制を取り、患者さんの服薬管理についても連携を図ってきました。調剤薬局から医師に疑義照会した内容は、毎日薬剤科にも報告していただき、内容を分析した上で、医師に情報提供をしています。しかし、電話による疑義照会は電話交換手、看護師、医師など複数の職員が介在し、業務の中断や患者さんの待ち時間延長などの支障にもなっています。そこで、院内の薬事委員会で医師と協議し、医師の承認を得た疑義内容については調剤薬局の薬剤師が自動的に対処して、結果のみを医師に報告するというルールを設けました。この連携で疑義照会による電話件数を3分の1に削減することができ、職員の業務負担も軽減できました。とりわけ、残薬調整は毎月150件以上もあり、薬剤数が多い時は看護師による電話対応や経過の記録入力にも時間を要していました。
永井:
薬局からは毎日、患者さんごとにどの薬をどれだけ日数調整したのかを下の表のようにまとめ北海道循環器病院に報告しています。

表 残高照会システムの報告書式(イメージ)

今田:
さらに残薬調整後の情報からは患者さんの服薬状況を把握することできます。例えば、たくさん残薬がある患者さんは、薬をきちんと飲んでいないのは明らかで、1日3回の薬を1日2回や1回に自己調整している方もいます。状態が安定しているのであれば、減薬してよいのかもしれませんが、服薬状況が医師にきちんとフィードバックされることにより、適正な治療に繋がります。患者さんが服薬しやすい処方設計を行うことで、アドヒアランスを高めることができます。

Q6. 医師との連携で留意されていることを教えていただけますか。

小財:
服薬指導中に、患者さんから医師には言えない薬に関する悩みをお聴きすることがあります。患者さんとの会話の中で得た情報は、すぐに主治医へ報告し、医師がその方に最適な薬剤を選択できるように協力しています。また、薬の情報について患者さんが混乱しないように、医師の治療方針をきちんと把握して説明しています。
永井:
さくら薬局でも電子薬歴の充実化を図り、医師からの説明と薬局での説明が食い違わないように気をつけています。特に複数の疾患に使われる薬は、医師がどの目的で処方しているかをきちんと記録しています。

Q7. 今後どのような取り組みに力を入れていきたいとお考えですか。

永井:
プラザキサの残薬があるということはアドヒアランス不良の証拠ですが、なぜ、どのくらい飲めていないかを知り、患者さんの生活パターンを把握することで、どんな支援をすれば服薬アドヒアランスを向上できるのか手がかりをつかむことができます。そうした聞き取りの努力を深めていきたいですね。
小財:
患者さんが心房細動と脳梗塞の関連性について理解し、抗凝固薬の働きを知ることにより、自然と服薬意識が高まるように、画像や動画などを用いて視覚に訴え、より印象に残るような説明を行うことができればよいと思っています。
今田:
医薬品の安全管理と適正使用の推進が薬剤師の任務ですが、一人ひとりの患者さんに対しては、ご自分の服薬に理解を深めてより積極的に治療に参加していただくような支援を行い、また、新薬の採用後は、使用状況をモニタリングして、適正使用を進めたいと考えております。プラザキサは選択肢の無かった内服抗凝固療法において期待される新薬ですので、長く安全に使っていきたいと考えております。今後、一層、医師の診療に役立つ情報提供を行うとともに、調剤薬局と連携して薬の安全使用に貢献したいと思っています。