プラザキサ 診療サポート薬剤師レポート
ザ・プロフェッショナル ~私の服薬指導術~

第10回 アドヒアランス向上のために
抗凝固薬を処方されている患者データを薬剤部で掘り下げ、適正使用を検討

薬剤師の先生の取り組みをご紹介いたします。

NOAC服用患者分析から判明したNOAC治療の実態

Q1.草津総合病院の来院患者さんはどのくらいでしょうか。また、プラザキサを含めてNOACを服用中の患者さんはどのくらいおられますか。

誠光会 草津総合病院 薬剤部 部長 鷹羽 頼勝先生
誠光会 草津総合病院
薬剤部 部長
鷹羽 頼勝先生
鷹羽:
外来患者は1日平均800名くらいです。NOACの処方はこの6か月間平均400名弱で、そのうちプラザキサが処方されているのは平均で130名くらいですね。当院は院内処方を75%行っており、一般病床520床(回復リハ40床地域包括ケア108床を含む)に、療養99床、介護100床を合わせて719床を持ち、薬剤師は治験センターの事務局業務も担当しています。

Q2.NOACを服用されている患者さんの実態を把握するためにどのような検討を行ったのか詳しく教えてください。

木村:

実は当院ではNOACの臨床治験に参加したのですが、全対象患者の平均CHADS2スコア3.26に対して、当院の登録患者は3.6と平均を上回り、塞栓リスクの高い患者が多いということがわかりました。そのことからもっと詳細に当院におけるNOACの処方を分析する必要があると考え、塞栓と出血の相反する2つのリスクから患者を評価するために、電子カルテを参照し病名や投薬歴、観察、検査結果などから塞栓リスク(CHA2DS2-VAScスコア)、出血リスク(HAS-BLEDスコア)を計算していき、処方用量との検討を行いました。

*当院では、特にCHADS2スコアで1点以下の低リスク症例において、抗凝固療法の必要性を判断する際に有用なCHA2DS2-VAScスコアをCHADS2スコアの代わりに用いました。

誠光会 草津総合病院 薬剤部・治験センター 薬剤師 木村 祥子先生
誠光会 草津総合病院
薬剤部・治験センター
薬剤師 木村 祥子先生

Q3.その検討結果からわかったNOACを服用している患者さんの特徴と処方の実態はどのようなものでしたか?

木村:
プラザキサが投与されている患者65名のうち、300mg投与群は男性のみの11名で、平均年齢58.7歳、CCr 93.3、CHA2DS2-VASc 2.91、HAS-BLED 1.55と比較的塞栓リスクも出血リスクも低く、220mg投与群は男性29名、女性25名で、平均年齢75.7歳、CCr 56.5、CHA2DS2-VASc 5.02、HAS-BLED 2.96と塞栓リスクも出血リスクも高い患者であることがわかりました。
鷹羽:
先ほどの治験患者の背景因子から考えても当院はハイリスク患者が多いので、高用量の300mg投与患者が多くなければならないのですが、実際はプラザキサ処方患者65名中、300mg投与群は11名で、あとの54名は220mgの低用量でした。CHA2DS2-VASc の点数が高い人ほど高用量を使用すべきですが、結果は逆で、CHA2DS2-VAScの点数が低く塞栓の起こりにくい患者に高用量が、点数が高く梗塞の起こりやすい患者に低用量が投与されている実態がわかったのです。

適正使用に向けての問題提起

Q5.塞栓リスクが高い患者に対して、プラザキサの低用量が処方されていた理由はどのようなものだったのでしょうか?

木村:
当院の患者は出血リスクが高い患者も多いというもうひとつの特徴を考慮して、医師が低用量を選択することが多くなっていたのではと想像しています。加えて、当院の心房細動がある患者の約6%にはステント治療がされていて、ステント治療をされている患者の多くは抗血小板薬を2剤服用しています。抗血小板薬を服用している上に抗凝固薬もとなりますと出血リスクがさらに上昇しますから、医師の処方が低用量に傾いたのではないでしょうか。
鷹羽:
当院では、医師が出血リスクを重視し、プラザキサの低用量を選択する傾向がありましたが、塞栓を防ぐというNOAC本来の目的を十分考慮し、塞栓リスクを重視した適切なNOACの選択が大切だと考えています。薬剤師の立場から、医師の適正使用への注意喚起を行い、より患者さんにとって最適な治療に貢献していきたいと思います。