プラザキサ 診療サポート薬剤師レポート
ザ・プロフェッショナル ~私の服薬指導術~

第11回 アドヒアランス向上のために
薬局の身近な疑問に答える医師の助言はアドヒアランス向上の手がかりが満載

薬剤師の先生の取り組みをご紹介いたします。

リスク低下のデータに基づき抗凝固療法の意義を説明

Q1.服薬アドヒアランスの基盤として、抗凝固療法や薬の大切さについて患者さんにどのように説明されていますか。

帝京大学ちば総合医療センター 第三内科 主任教授 中村 文隆 先生
帝京大学ちば総合医療
センター
第三内科
主任教授 中村 文隆 先生
中村
抗凝固薬は、血圧や脂質の薬と同じように効果を実感できる薬ではありません。ですから脳梗塞を予防しない場合の絶対リスクと、治療によって低減できるリスクを示して、患者さんに抗凝固薬を服用する意義を納得してもらえるように説明しています。
例えば心房細動の患者さんで、75歳以上かつ糖尿病を合併しているとそれだけでCHADS2スコアは2点、脳梗塞の年間発症率は4.0%です1)。しかし、適切な抗凝固療法を行えばそのリスクは半分以下に下がるというデータがあり2)、それらを示して患者さんに理解してもらうようにしています。
小野崎

中村先生が診察している直接経口抗凝固薬(DOAC)を服用中の患者さんは当薬局で30名ほどおられますが、先生の説明がきちんと伝わっているので、途中で服薬を中止する方はほとんどいませんし、「この薬は血をサラサラにするのですよね。先生から聞いていますよ」といった具合に、薬に関する患者さんの理解度をスムーズに確認することができます。

つるまき薬局 薬局長 小野崎 章 先生
つるまき薬局
薬局長 小野崎 章 先生

抗凝固薬の選択や薬剤変更の理由

Q2.今回のインタビューに先だち、プラザキサを中心に抗凝固薬に関して、薬剤師(つるまき薬局)の疑問を小野崎先生にとりまとめていただきました。
1つ目の疑問として、抗凝固薬を選ぶ時や薬剤変更を検討する際のおもな理由について、中村先生より解説していただけますか。

中村

最初に、ワルファリンからプラザキサをはじめとするDOACに変更する際の考慮ポイントをまとめてみます。

1.ワルファリンの服用量が多い

ワルファリンには個人差が大きく、5~6mg服用しても効果が不十分な患者さんもおられますが、副作用を考慮してワルファリンの増量が難しいと判断される場合、プラザキサなどDOACへの変更が選択されます。

2.PT-INRが変動しやすい

特にワルファリンの服用量が多い方ではPT-INR(プロトロンビン時間国際標準比)が変動しやすく、TTR(至適範囲時間)65%という目安をなかなか満たせない場合に、プラザキサなどへの変更が検討されます。

3.血液検査の頻度や食生活の考慮

ワルファリンは毎月の血液検査でPT-INRなどを測定する必要がありますが、プラザキサなどDOACでは2~3カ月に1回程度の測定で済みます。脳梗塞のリスクが小さい比較的若年の患者さんでは、就労の都合もあって検査や通院の負担軽減は無視できないメリットです。またDOACであれば「納豆禁止」といった食生活の制限を回避することができます。

小野崎
私自身は経験したことはないのですが、DOAC同士での変更もあるのでしょうか。
中村
DOACを最初に処方する時点で各薬剤の適応や患者さんの希望を考慮していますので、何も起きていないのにDOAC同士で変更することは基本的にはありません。そのような変更にメリットがあるというエビデンスはないのです。
ただし腎機能が低下してきた時や脳梗塞の二次予防の際には、最初に使用していたDOACから変更することがあります。