プラザキサ 製品紹介 アブレーション周術期の抗凝固療法における薬剤選択について
~スペシャルインタビュー~ 宮﨑 晋介 先生

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心房細動カテーテルアブレーション周術期の抗凝固療法として中和剤のあるDOACは有用な選択肢

宮﨑 晋介 先生

福井大学医学部
不整脈・心不全先端医療講座 特命講師
宮﨑 晋介 先生

心房細動カテーテルアブレーション周術期の合併症を予防するために

当院でカテーテルアブレーション治療(以下、アブレーション)を施行する心房細動患者さんは平均60歳代前半で、CHADS2スコアが1~2点と低い方が多く、透析を含む腎機能障害例は少ないです。また、年齢による制限は設けていませんが、当院では発作性心房細動であれば上限85歳程度までを対象の目安としています。アブレーション周術期の代表的な合併症としては、脳梗塞、心タンポナーデおよび食道関連の合併症が挙げられます。特に、脳梗塞および心タンポナーデはアブレーション周術期に最も注意が必要な合併症ですが、脳梗塞の発症を予防するため周術期も抗凝固療法を継続することが重要です。一方、心タンポナーデは術者の手技やデバイスなどのさまざまな要因によって発現するため予防は難しいですが、心房中隔穿刺を慎重に行う、高周波アブレーションの場合はコンタクトフォースを適切に用いて安全に治療を行う、といった心がけをしています。また、バルーンを用いたアブレーションも普及してきていますが、心タンポナーデのリスクを回避する一つの選択肢になると思います。さらに、術後は必ず心エコー検査を行い、遅発性の心タンポナーデの発現に注意しています。

中和剤の存在がアブレーション周術期の継続的な抗凝固療法を後押し

これまで当院では、出血リスクへの懸念からアブレーション周術期は抗凝固薬を休薬し、血栓リスクに応じてヘパリンブリッジを行っていました。しかし、現在はアブレーション周術期の抗凝固療法としてプラザキサ継続投与を第一選択としています。その背景には、アブレーションの施行が予定された非弁膜症性心房細動患者を対象としたRE-CIRCUIT試験において、ワルファリン継続投与に比べプラザキサ継続投与で出血リスクが減少したことに加え、プラザキサは特異的中和剤プリズバインドを有するからです。プリズバインドはダビガトランのみに特異的に作用し、ダビガトランの抗凝固作用を迅速・完全・持続的に中和することから()、万が一、アブレーション施行中に心タンポナーデなどの出血性合併症が発現した場合でもプリズバインドによって迅速に対応でき、その意義は大きいと考えています。また、出血性合併症の発現により抗凝固療法を中止後、脳梗塞を発症することもあります。出血発現後の回復期に、抗凝固療法を再開するタイミングは確立されていませんが、プリズバインドを投与した場合は、臨床的な安定や十分な止血を確認した上で、プラザキサはプリズバインドの投与から24時間後、それ以外の抗凝固薬は随時再開できることもメリットと言えます。

今後のアブレーション周術期の抗凝固療法

RE-CIRCUIT試験の結果を受けて、2017年にHRS/EHRA/ECAS/APHRS/SOLAECEによる「心房細動のカテーテルおよび外科的アブレーションに関するコンセンサスステートメント」が改訂され、アブレーション周術期の抗凝固療法としてワルファリンもしくはプラザキサが投与されている患者さんでは、休薬なしでアブレーションを施行することがクラスI、レベルAで推奨されました。直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)で唯一特異的中和剤のあるプラザキサをアブレーション周術期に継続投与することは、脳梗塞予防、出血性合併症発現時の対応という観点から理にかなっていると考えています。
一方、アブレーション施行後は、抗凝固薬の投与を少なくとも2ヵ月間は継続し、その後はCHADS2スコアや再発リスクなどを考慮して患者さんと相談しながら投与中止の適否を判断しています。心原性脳塞栓症の既往、心機能低下、慢性心房細動、左心耳の血流低下が認められるような患者さんでは抗凝固薬の投与を継続することが経験的に多いですが、アブレーション施行後の抗凝固療法の中止時期に関する検討は限定的であるのが現状です。今後、アブレーション施行後の抗凝固療法に関するエビデンスが構築されていくことを期待しています。

図 プリズバインド投与後の希釈トロンビン時間(dTT)の推移(国内第一相試験:臨床薬理試験)
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2018年5月作成

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図 プリズバインド投与後の希釈トロンビン時間(dTT)の推移(国内第一相試験:臨床薬理試験)