プラザキサ 製品紹介 アブレーション周術期の抗凝固療法における薬剤選択について
~スペシャルインタビュー~ 中野 誠 先生

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RE-CIRCUIT試験により変化した心房細動カテーテルアブレーション周術期の抗凝固療法

中野 誠 先生

東北大学大学院医学系研究科
循環器内科学 助教
中野 誠 先生

心房細動カテーテルアブレーションの施行前は患者さんへの十分な説明が大切

当院でカテーテルアブレーション治療(以下、アブレーション)を施行する心房細動患者さんの背景は、平均年齢が63歳程度、CHADS2スコアが1~2点の方が多く、腎機能は保たれていることが比較的多いです。
罹患歴の短い発作性心房細動症例であれば、1回のアブレーションにより根治する可能性は高いものの、左房拡大が認められる持続性心房細動のような症例では、複数回の施行が必要になることもあります。しかし、患者さんの中には1回のアブレーションで根治することを期待している方も少なくないため、アブレーション施行に際しては治療効果について患者さんにしっかりと説明することが大切です。また、自覚症状に乏しい持続性心房細動症例で、アブレーション後の洞調律維持のイメージがわかない場合には、電気的除細動を行い洞調律に戻った状態を体験していただくことで、患者さんの治療に対する期待度とアブレーションによる実際の症状改善度の整合性を図り、患者さんの意向に沿った治療を行うように心がけています。

アブレーション周術期の合併症予防には抗凝固療法の継続と丁寧な手技が必要

アブレーション周術期は、血栓塞栓症と、カテーテルの侵襲による出血や穿刺部出血という相反する合併症のリスクが高くなるため、それらの合併症を予防するための対応が必要です。当院では血栓塞栓症予防として、周術期の抗凝固療法を可能な限り継続するようにしています。また、出血予防としては、手技を丁寧に行うことが重要です。例えば、穿刺部の出血に対しては、術後のヘパリンの中和や用手圧迫止血を確実に行うように気をつけていますし、出血の中でも特に注意すべき心タンポナーデに対しては、コンタクトフォースを用いて、カテーテル先端に過度の圧力がかからないように注意しています。

当院におけるアブレーション周術期の抗凝固療法と今後の展望

2017年に発表されたRE-CIRCUIT試験において、アブレーション周術期の抗凝固療法として、ワルファリン継続投与と比べ、プラザキサ継続投与で出血リスクが有意に減少することが示されました。本試験の結果を受け、当院ではアブレーション周術期の抗凝固療法として、プラザキサ継続投与が選択されるようになりました。さらに、アブレーション周術期は出血リスクが懸念されるため、万が一の出血性合併症発現時の安心材料として、プラザキサの特異的中和剤であるプリズバインドは付加価値になると考えています。また、プラザキサは大規模臨床試験であるRE-LY試験において、150mg×2回/日および110mg×2回/日がいずれも独立してワルファリンと比較されており、2用量のエビデンスが得られていることが特徴の一つです()。そのため、患者さんの出血リスクと血栓リスクに応じて、アブレーション周術期の抗凝固療法に用いるプラザキサの用量を医師の裁量で選択する余地がある点も評価しています。
一方、アブレーション周術期に短期休薬(1~2回)したプラザキサ投与の安全性と有効性を検討したABRIDGE-J試験により、ワルファリン継続投与と比べ、休薬をしたプラザキサ投与で出血リスクが有意に減少し、血栓リスクは同程度であることが示されました。このことから、アブレーション周術期における抗凝固療法の今後の展望として、持続性心房細動で左房拡大が認められるなど血栓リスクが高い患者さんではプラザキサを継続投与し、血栓リスクに比べて出血リスクが高い患者さんでは施行当日朝1回を休薬するなど、エビデンスを基に個々の患者さんの出血リスクと血栓リスクに応じた適切な抗凝固療法の選択がなされていくのではないかと考えています。

図 脳卒中/全身性塞栓症の発症率および大出血の発現率(RE-LY試験、主要評価項目):国際共同試験
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2018年5月作成

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図 脳卒中/全身性塞栓症の発症率および大出血の発現率(RE-LY試験、主要評価項目):国際共同試験