プラザキサ 製品紹介 アブレーション周術期の抗凝固療法における薬剤選択について
~スペシャルインタビュー~ 山根 禎一 先生

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心房細動カテーテルアブレーション周術期におけるプラザキサ継続投与の安心感につながる中和剤の存在

山根 禎一 先生

東京慈恵会医科大学
循環器内科 教授
山根 禎一 先生

当院における心房細動カテーテルアブレーション治療

当院でカテーテルアブレーション治療(以下、アブレーション)を施行する心房細動患者さんは、平均年齢50歳代後半と比較的若年で、腎機能の保たれた方が多い印象があります。なお、アブレーションの適応に際して当院における明確な年齢制限はありませんが、上限は80歳程度が基本になっていると思います。また、症状が進行している患者さんに対しては、病因の完全な除去は難しくなること、アブレーションの目的は洞調律維持によるQOLの向上であることなどを説明して、患者さんと医師の間でアブレーションの効果に対する期待感の不一致が生じないように気をつけています。
アブレーション周術期に最も注意が必要な合併症は、心タンポナーデと脳梗塞だと考えています。心タンポナーデについては術者の手技向上が予防につながると思います。また、脳梗塞に対する対策として、抗凝固薬をアブレーション施行2~3ヵ月前から投与し、施行前には経食道心エコーやCT検査で左房内に血栓がないことを確認することが重要です。なお、アブレーション周術期の抗凝固療法は、ワルファリンの場合は継続投与、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の場合は、基本的に施行当日の朝は休薬としています。ただし、プラザキサの場合はDOACで唯一特異的中和剤プリズバインドを有することから、アブレーション施行当日も継続投与することが増えていると感じます。

RE-CIRCUIT試験によりアブレーション施行当日はプラザキサに変更するケースが増えた

RE-CIRCUIT試験により、アブレーション周術期におけるプラザキサ継続投与の安全性と有効性が示されました。さらに、プリズバインドの存在は万が一の出血性合併症発現時の安心感につながるため、当院ではアブレーション施行前にプラザキサ以外のDOACが投与されている患者さんにおいても、施行当日はプラザキサに変更し、休薬なしでアブレーションを施行するケースが増えています。
一方、アブレーション施行後の抗凝固薬の中止時期については、「カテーテルアブレーションの適応と手技に関するガイドライン」の基準を加味しつつ、患者さん個々の状態や希望を考慮して判断しています。例えば、血栓リスクが低い患者さんでは3ヵ月後に投与中止を検討、再発が懸念される持続性心房細動患者さんでは最低でも1年継続後に再発がなければ投与中止を検討、CHADS2スコアが高く、特に脳梗塞既往を有する患者さんでは投与中止することなく継続を基本としています。

アブレーション周術期のDOAC投与に関するさらなるエビデンスの集積に期待

RE-CIRCUIT試験の結果を踏まえて、2017年に改訂されたHRS/EHRA/ECAS/APHRS/SOLAECEによる「心房細動のカテーテルおよび外科的アブレーションに関するコンセンサスステートメント」では、アブレーション周術期にプラザキサが投与されている患者さんでは休薬なしでアブレーションを施行することがクラスI、レベルAで推奨されました()。その後、ABRIDGE-J試験により、アブレーション周術期の抗凝固療法として、ワルファリン継続投与と比べ、周術期に短期休薬(1~2回)したプラザキサ投与で血栓リスクをワルファリン継続投与と同程度に抑制しつつ、出血リスクを有意に減少させることが示されました。これにより、アブレーション周術期のプラザキサ投与については継続と休薬の両エビデンスが示されました。今後、これらの試験をはじめとするアブレーション周術期におけるDOAC投与の安全性と有効性を検討したデータが多く集積され、患者さん個々の出血リスクや血栓リスクに応じた最適な抗凝固療法が選択されていくことを期待しています。

表 HRS/EHRA/ECAS/APHRS/SOLAECEによる「心房細動のカテーテルおよび外科的アブレーションに関するコンセンサスステートメント」(2017年)
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2018年5月作成

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表 HRS/EHRA/ECAS/SOLAECEによる「心房細動のカテーテルおよび外科的アブレーションに関するコンセンサスステートメント」(2017年)