プラザキサ 製品紹介 不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)を踏まえた今後の心房細動アブレーション周術期抗凝固療法
~スペシャルインタビュー~ 長内 宏之 先生

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心房細動カテーテルアブレーション周術期の抗凝固療法として、
複数のエビデンスと中和剤を有するプラザキサを選択

(2019年7月25日 横浜にて実施)

長内 宏之 先生

公立陶生病院 循環器内科 主任部長
長内 宏之 先生

当院における心房細動カテーテルアブレーション治療

当院ではカテーテルアブレーション治療(以下、アブレーション)を年間200件以上施行しており、そのうち心房細動に対するアブレーションは全体の60~70%を占めています。これまでアブレーションは、抗不整脈薬などの薬物治療が無効あるいは副作用で継続できない場合に良い適応とされていましたが、このたび改訂された「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)」(以下、ガイドライン)1)では、症候性再発性発作性心房細動に対する第一選択治療としてアブレーションを施行することがクラスⅡa、レベルBで推奨されました。また、持続性および長期持続性心房細動に対しても、症候性の再発例であればアブレーションを第一選択とすることに妥当性があると明記されました。当院では、特に発作性の患者さんは治療成功率も高いことから、積極的にアブレーションを勧めており、今回の改訂はわれわれアブレーションを施行する医師にとっても心強く感じています。また、当院ではアブレーションの適応の判断にあたり、年齢制限は設けておらず、患者さんの健康状態や症状の程度を考慮し、基準に合致する場合には、たとえ90歳を超える高齢の患者さんであってもアブレーションを施行することもあります。

アブレーション周術期に注意が必要な合併症と適切な抗凝固療法の重要性

アブレーション周術期には脳梗塞、左房食道瘻、心タンポナーデなど、様々な合併症に注意する必要があります。合併症のなかでも頻度が比較的多い心タンポナーデに関しては、コンタクトフォースを用いて手技を丁寧に行うことでリスクを最小限に抑えることができると思います。また、脳梗塞は、頻度は低いものの、発症すると後遺症が残る可能性が高いことから、適切な抗凝固療法による脳梗塞予防が重要です。前述のガイドラインには、心房細動アブレーション周術期の抗凝固療法として、「ワルファリンもしくはダビガトランによる抗凝固療法が行われている患者では、休薬なしで心房細動アブレーションを施行することが推奨される(クラスI、レベルA)」と記載されています。アブレーション周術期の血栓塞栓症や出血性合併症を防ぐためにも、ガイドラインに沿った適切な抗凝固療法を行うことは重要だと考えています。

アブレーション周術期には複数のエビデンスと中和剤を有するプラザキサを選択

RE-CIRCUIT試験2)、ABRIDGE-J試験3)では、アブレーション周術期のプラザキサ継続投与、短期休薬(1~2回)を伴うプラザキサ投与により、いずれも安全性および有効性が示されました。また、プラザキサには万一の合併症発現時にも対処可能な特異的中和剤であるプリズバインドがあります。当院では、エビデンスの蓄積やガイドラインでの推奨、中和剤の存在を踏まえて、アブレーション施行予定の心房細動患者さんでプラザキサ以外の抗凝固薬が投与されている場合は、アブレーション施行約1ヵ月前に可能な限りプラザキサに変更しています()。プラザキサの用量は、クレアチニンクリアランスが50mL/min以上の場合、150mg×2回/日を選択し、70歳以上の高齢者や中等度腎障害がある患者さんでは110mg×2回/日も考慮します。 RE-CIRUIT試験のエビデンスがあるため、アブレーション施行当日もプラザキサの服用を継続したままアブレーションを施行しています。そして、アブレーション施行後も薬剤の変更は行わずに、逆紹介の際には、プラザキサを少なくとも3ヵ月間は継続いただけるように紹介元の先生方に丁寧にお伝えすることも心がけています。
抗凝固療法中の心房細動患者さんによっては、検査/手術などのために、抗凝固療法を短期的に中断せざるを得ないケースが出てくることも考えられます。私は、予期せぬ事態に備え、適応がある場合には心房細動アブレーションを行い、脳梗塞の発症リスクを減らしておくことのメリットは大きいと考えています。近年、アブレーション施行目的で当院を紹介受診する患者さんは増えていますが、今後は紹介元の先生方にもガイドラインでの推奨、中和剤のあるプラザキサのエビデンスが十分に認識され、適切な抗凝固療法が普及するとともに、安全なアブレーションをより浸透させていきたいと考えています。

図 当院におけるアブレーション周術期の抗凝固療法プロトコール
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文献

  • 1)日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン:不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版).
    http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2018_kurita_nogami.pdf (2019年8月閲覧)
  • 2)Calkins H, et al. N Engl J Med 2017; 376: 1627-1636.
  • 3)Nogami A, et al. JAMA Netw Open 2019; 2: e191994.

2)、3)はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施しました。

PC
2019年9月作成

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図 当院におけるアブレーション周術期の抗凝固療法プロトコール