プラザキサ 製品紹介 不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)を踏まえた今後の心房細動アブレーション周術期抗凝固療法
~スペシャルインタビュー~ 小林 義典 先生

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RE-CIRCUIT試験の結果と中和剤の登場によって変化した
心房細動カテーテルアブレーション周術期における抗凝固療法

(2019年7月26日 横浜にて実施)

小林 義典 先生

東海大学医学部付属八王子病院 循環器内科 教授/病院長
小林 義典 先生

当院における心房細動カテーテルアブレーション治療

当院ではカテーテルアブレーション治療(以下、アブレーション)を年間200件近く施行しており、そのうちの約8割は心房細動に対するアブレーションです。当院でアブレーションを施行する心房細動の患者さんは地域の医療機関からの紹介が多く、循環器専門病院、中規模の総合病院、クリニックなど紹介元は多岐にわたります。特に最近はクリニックの先生方から発作性の段階で紹介いただくことが増えています。これは、早期にアブレーションを施行したほうが安全性、有効性ともに高いというわれわれのメッセージを、地域の先生方にご理解いただいていることの現れだと思っています。当院ではアブレーションの適応を判断するにあたり、年齢の上限は設けていませんが、80歳をひとつの目安とし、個々の患者さんの状態を判断しながら施行の有無を決定しています。

アブレーション周術期は心タンポナーデなどの重篤な合併症に注意

心房細動に対するアブレーション周術期に注意が必要な合併症には心タンポナーデや脳梗塞などがあります。また、当院では先端がバルーン状のバルーンカテーテルを用いてアブレーションを施行することが多いため、横隔神経麻痺や左房食道瘻にも注意して施行しています。高周波アブレーションにおける合併症の中で特に注意しているのは心タンポナーデであり、その発現を防ぐためにコンタクトフォースやアブレーションインデックス(推定焼灼深度)をリアルタイムで確認しながら、丁寧な手技を心がけています。また、脳梗塞もアブレーション周術期に注意が必要な合併症であり、発症を防ぐためにも周術期に適切な抗凝固療法を行うことが求められます。このたび改訂された「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)」(以下、ガイドライン)には、心房細動アブレーション周術期の抗凝固療法として、「ワルファリンもしくはダビガトランによる抗凝固療法が行われている患者では、休薬なしで心房細動アブレーションを施行することが推奨される(クラスI、レベルA)」と記載されています1)。心房細動に対するアブレーション周術期の出血性合併症や血栓塞栓症を防ぐためにも、ガイドラインに則った適切な抗凝固療法を行うことは大切だと考えています。

RE-CIRCUIT試験の結果や中和剤の存在を踏まえてプラザキサを選択

RE-CIRCUIT試験2)では、アブレーション周術期のワルファリン継続投与と比較して、プラザキサ継続投与で出血リスクが減少することが示されました。また、特異的中和剤であるプリズバインドの登場によって、万一の出血性合併症の発症時にも対応できるようになりました。こうしたエビデンスや中和剤の存在を踏まえ、当院ではアブレーション施行前の外来時にプラザキサ以外の抗凝固薬が投与されている場合は、プラザキサに変更しています()。プラザキサの血中濃度を定常状態にするため、変更後1~2週間ほどプラザキサを投与します。アブレーション施行当日の朝は休薬し、施行後はガイドライン通り少なくとも3ヵ月間は抗凝固薬の服用を継続しています。発作性で早期にアブレーションを施行できた患者さんで、脳梗塞リスクが低い方は3ヵ月後に服薬を中止することもありますが、持続性心房細動や永続性心房細動に移行しつつある患者さんの場合は注意が必要です。当院では、CHADS2スコア3点以上の高リスクの患者さんや一度でも血栓塞栓症の既往のある患者さん、心房細動再発リスクの高い患者さんは3ヵ月を過ぎても投与を継続することが多いです。今後も不整脈が専門ではない先生方にガイドラインでのアブレーションに関する推奨事項について広く認識していただくことで、治療成績がより高く見込める早期の段階で、患者さんにアブレーションという治療選択肢を提供できる機会が増えるものと考えます。

図 当院におけるアブレーション周術期の抗凝固療法プロトコール
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文献

2)はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施しました。

PC
2019年10月作成

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図 当院におけるアブレーション周術期の抗凝固療法プロトコール