COPDの吸入指導多職種連携による豊富な経験の共有

【 解説 】 2020年度診療報酬改定 「薬剤服用歴管理指導料 吸入薬指導加算」を新設

 2020年度診療報酬改定では、社会的に大きな課題となっている働き方改革を医療現場にも浸透させるため、医療従事者の勤務環境の改善につながる取り組みを診療報酬で支援していく姿勢が明確に示されました。現在の医療は医療従事者の高い志による過酷な勤務環境で成り立っているという指摘がありますが、厚生労働省は「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」を基本方針の重点課題に位置付け、本腰を入れていく考えです。

 2020年度改定のうち、薬剤師に関連する部分を見ると、2016年度改定と2018年度改定に引き続き「対物から対人への転換」を促すため、内服薬の調剤料の評価を見直すとともに、対人業務に関する薬学管理料の評価が見直されています。厚労省は、薬局の地域におけるかかりつけ機能をより一層、評価する方向に舵を切っており、その一環として「薬剤服用歴管理指導料 吸入薬指導加算」や「服用薬剤調整支援料2」などが新設されました。

 薬剤服用歴管理指導料 吸入薬指導加算は、喘息またはCOPD患者にデモ機などを用いて吸入指導することに対する評価です。初めて吸入薬を使用する患者さんや、処方薬が変更になった患者さんにとって、デバイス操作を覚えるのは大変なことです。吸入薬による治療方針の決定とデバイスの選択は医師が担い、吸入指導は薬剤師が重要な担い手となることによる、密な病薬連携が、吸入指導の成功の鍵になると見込まれています。

 算定要件は▽医師から指示があった場合▽患者さんや家族から申し出があり、医師の了解を得ている場合―で、文書による説明とデモ機などを用いた実技指導をすることで、3か月に1回に限って30点を加算します(図)。実技指導後にお薬手帳などで処方医にフィードバックし、情報を共有することも求められます。厚労省は、丁寧な服薬指導の推進を目指すと同時に、吸入薬の服薬指導に限らず、医師と薬剤師、患者さんが密にコミュニケーションを取ることによるかかりつけ機能の強化も期待しています。

 服用薬剤調整支援料2は、外来患者の重複投薬解消につながる薬剤師の取り組みを評価します。複数の医療機関から6種類以上の内服薬を処方されている患者さんやその家族の相談を受け、レセプト情報やお薬手帳、患者さんへの聞き取りなどによって、まず服用中の薬剤を把握します。適応症など処方の背景を考慮しつつ重複投薬の有無などを確認して、処方医に重複投薬の解消につながる提案などをした場合に、3か月に1回に限って100点を加算します。

 厚労省では、薬剤師による吸入指導や患者さんの服薬状況の把握といった取り組みを重要視する一方で、薬剤師には、患者さんの服薬の理解度やアドヒアランス、常用しているOTC、サプリメント、食事の回数や睡眠の状況といった生活状況や患者さんが気になっているちょっとしたことなど医薬品に限らない健康に関する日常的な相談を受ける存在になること、患者さんと密なコミュニケーションを取っていくことも促していく方針です。

  • 図 吸入薬指導加算の算定要件 (イメージ)
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2020年4月作成