スピリーバ 喘息 効果と対象患者喘息予防・管理ガイドライン2018における位置づけ 改訂ポイント

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喘息予防・管理ガイドライン2018 治療に関する改訂ポイント

総論

「喘息の問診・聴診・身体所見」、「喘息のバイオマーカー」、「喘息の予後」の項目を新規に追加されています。

①問診
喘息患者は咳、喘鳴、息切れ、胸部絞扼感などを訴えて外来受診することが多い「喘鳴を伴った息苦しさ」の訴えは喘息に特徴的とされるが、基本的には日常臨床で頻繁に遭遇する非特異的な症状である。初期診療に際しては、感染性疾患の除外が必要であり、呼吸器以外の疾患が原因である可能性についても検討を要する。成人の場合は、年齢や喫煙歴、併存疾患も考慮しながら評価する。咳が唯一の症状である場合もあるので注意する。

他に明らかな原因がなく、症状の持続性や反復性から慢性気道疾患の可能性が高いと判断されたら、喘息を疑わせる症状を詳細に聞き取らねばならない。COPDや中枢気道の器質的狭窄はしばしば喘息と鑑別困難で注意を要する。症状の変動が大きく、反復するエピソードの間に無症状の時期が存在することが病歴で確認出来れば参考になる。

喘息を疑わせる症状が複数認められた際は喘息の可能性が高いと考えて、さらに追加問診によって情報を収集する

喘息の際に典型的に認められる症状

・喘鳴、息切れ、咳、胸部絞扼感の複数の組み合わせが変動をもって出現する。
・夜間や早朝に増悪する傾向がある。
・症状が感冒、運動、アレルゲン曝露、天候の変化、笑い、大気汚染、強い臭気などで誘発される。

成人喘息を疑う際の追加問診項目

・症状の初発時期、過去の医療機関受診・投薬歴と治療に対する反応
・既往歴:アレルギー性鼻炎、薬剤や食物アレルギー
・生活歴:喫煙、常用薬剤(健康食品も含む)、住環境、ペット飼育状況
・職歴と職場環境:勤務と症状との関連に注意する
・家族歴:アトピー素因、喘息

②聴診所見
呼気性喘鳴(wheezes)が特徴的である。気道狭窄の程度によっては吸気時にも聴取され、呼気延長を伴うこともある。安静換気で喘鳴や呼気延長が明らかでなくとも、強制呼出させると顕在化することがある。喘鳴が聴取される部位はびまん性のことも散在性のこともあるが、常に同じ部位で喘鳴が聴取されるようなら器質的狭窄の可能性も考慮する。

明らかな呼吸音の左右差や水泡音、捻髪音が認められる場合は他疾患を疑うべきである。喘息は症状の変動を特徴とする疾患であり、診療時の呼吸音に異常を認めなくても喘息を否定する根拠にはならない。ただし、受診の動機となった症状が持続しているにもかかわらず、一貫して喘鳴が聴取されない場合は、喘息以外の疾患である可能性が高い。
③その他の身体所見
喘息以外の疾患を疑わせる所見

・慢性の咳・痰にもかかわらず喘鳴や呼吸困難を伴わない。
・症状は持続しているが聴診所見が一貫して正常である。
・明らかな水泡音、呼吸音の左右差、常に同じ部位に限局した喘鳴がある。
・頸部に最強点を示す吸気喘鳴(stridor)、吸気終末のみに目立つ喘鳴(squawk)がある。
・心疾患を疑わせる病歴や身体所見を認める。
・著明なふらつきや末梢のしびれを伴う呼吸困難を認める。

疫学

喘息の疫学データを最新のものにアップデートされています。

病態生理

気道炎症の分子病態に関する最新の知見が追加されています。

治療

「吸入指導」、「アレルゲン特異的免疫療法」、「医療連携」が新規に追加されています。

①吸入指導
成人における吸入指導 吸入薬は正しく吸入されて初めて効果を発揮する。したがって、吸入指導はすべての喘息患者に対して行う必要がある。また、吸入手技の不良は喘息コントロールの不良、増悪リスクや副作用の増加につながる。

吸入指導の進め方

吸入指導の進め方

一般社団法人日本アレルギー学会. 喘息予防・管理ガイドライン2018. 東京: 協和企画; 2018: 123

②アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法とは、病因アレルゲンを投与することにより、アレルゲンに曝露された際に引き起こされる症状を改善させる治療法である。薬物療法と異なり、主としてアレルギー病態の自然経過に対する修飾効果を期待して行う。すなわち、即効性を期待して行うものではないことを治療者も患者も理解しておく必要がある。なお、一部で減感作療法という表現が残存しているが、国際的には喘息などを対象に環境アレルゲンを投与して治療を行う場合には「allergen immunotherapy」が用いられている。
③医療連携
アレルギー疾患対策基本法を受けて

喘息などのアレルギー疾患は近年増加傾向にある。いまや国民の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患しているといわれ、職場、学校などの社会生活や日常生活上の多くの場面で様々な影響を及ぼしており、急激な症状の悪化を繰り返し、重症化し死に至る例もある。このような状況を鑑み、総合的なアレルギー疾患対策を推進するため、「アレルギー疾患対策基本法」が公布され、平成27年12月25日から施行されている。

アレルギー疾患医療に携わる専門的な知識および技能を有する医師、薬剤師、看護師、その他の医療従事者の育成や連携など、アレルギー疾患診療関係者の協力の必要性が明記され、学校や職場などと医療機関との連携強化も視野に入れられている。乳児、児童から独居や認知症の高齢患者まで幅広い患者僧を対象としており、日常生活の様々な場面で迅速かつ的確な対応が必要である喘息などのアレルギー疾患治療において、従来の病診連携や医薬連携の枠を越えた患者を中心に広く取り巻く医療環境の整備が求められている。国は、アレルギー疾患患者の居住地域にかかわらず、適切な医療や相談支援を受けられるように、中心拠点病院、都道府県拠点病院、かかりつけ医の役割を明記し、診療体制、情報提供、人材育成などを連携して行う医療提供体制の在り方を検討している。

これまでの段階的薬剤投与プランの喘息治療ステップの治療ステップ3以上に限定されていた長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の推奨範囲を治療ステップ2まで拡大しています。

治療ステップ4の治療には新たに抗IL-5抗体製剤、抗IL-5受容体α鎖抗体製剤、気管支熱形成術(BT)が追加されています。

種々の側面

「ステロイド抵抗性喘息」を新規に追加しています。

①喘息におけるステロイド抵抗性とは
喘息におけるステロイド抵抗性の定義は、「1秒率が70%未満で気管支拡張薬により15%以上の気道の可逆性はあるが、PSL (0.5mg/kg:20〜40mg)を10〜14日間内服しても気管支拡張薬使用前の1秒率の改善が15%未満」とされている。一方、実臨床においては中〜高用量のICS(FP 500μg以上あるいはBUD800μg以上)およびLABA/LTRA/テオフィリン徐放製剤を用いてもコントロールが不十分で、3日以上の全身性ステロイド薬投与が必要な重度の増悪を年2回以上、あるいは年1回以上の重篤な増悪で入院を要する症例もステロイド治療抵抗性の重症喘息と捉えられる。しかし、実臨床においてステロイド治療(吸入薬を含む)を行っても治療効果を示さない患者は、真のステロイド抵抗性か否かを見極めることが重要であり、表7-1に示す点を留意しながら診療を進める。

表7-1 ステロイド抵抗性喘息を診断する前に検討すべき確認事項

①吸入薬の使用量、デバイスの選択はその患者にとって適切か。
②吸入にあたっての使用法(デバイスの誤動作)、服薬アドヒアランスは守られているか。
③喘息に関連し得る環境因子は回避、除去できているか。
④併存症・合併症は存在しないか。管理はできているか。
⑤喘息以外の疾患は考えられないか。

②ステロイド抵抗性の診断と治療
表7-1の各項目について補足すると、①②の薬剤選択ならびにアドヒアランスの項目については看護師、薬剤師など医療スタッフとの連携が重要である。③環境因子は表7-2に示す諸因子の有無について患者に確認をする。④併存症・合併症は表7-3に示す疾患について検討し、必要に応じて併存症の治療介入も行う。上記を考慮しながら治療にあたっても症状の改善が認められない場合は、表7-4に示す鑑別疾患も念頭に置かなくてはならない。これらの中には診断のために諸々の検査を要する疾患もあるため専門医療機関への紹介も必要になる。

表7-1 ステロイド抵抗性喘息を診断する前に検討すべき確認事項

①吸入薬の使用量、デバイスの選択はその患者にとって適切か。
②吸入にあたっての使用法(デバイスの誤動作)、服薬アドヒアランスは守られているか。
③喘息に関連し得る環境因子は回避、除去できているか。
④併存症・合併症は存在しないか。管理はできているか。
⑤喘息以外の疾患は考えられないか。

表7-2 喘息憎悪に関わる環境因子

・食物、飲酒、運動
・薬物(NSAIDs、β遮断薬など)
・大気汚染物質、浮遊真菌、気象変化
・ダニ、ペット、真菌
・タバコ煙、職場における憎悪因子

表7-3 喘息の合併症・併存症
・鼻炎、副鼻腔炎
・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)
・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
・肥満
・胃食道逆流症(GERD)
・睡眠時無呼吸症候群
・うつ病、不安症
表7-4 喘息の鑑別疾患
・気管内結核、腫瘍、異物による気道狭窄
・声帯機能不全(VCD)
・気管軟化症
・気管支拡張症
・気管内結核、腫瘍、異物による気道狭窄
・声帯機能不全(VCD)
・気管軟化症
・気管支拡張症

pc 作成年月:2018年7月

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