トラゼンタ 製品紹介:コンテンツ一覧対談「腎機能を考慮した糖尿病診療(Cooper先生×深水圭先生)」

腎機能を考慮した糖尿病診療

DKDの進行抑制には糸球体内圧の増大を阻止する対策が必要

深水2型糖尿病の主要合併症であるDKDの進行を防ぐことは予後の改善に不可欠です。われわれはレニンアンジオテンシン系(RAS)阻害薬がDKDの進行を抑制することを明らかにしていますが,RASはDKD進行にどの程度関与しているのでしょうか。

Cooper糖尿病におけるDKD発症の主要な臨床的予測因子の一つは血糖コントロール不良,もう一つは高血圧です。その高血圧を生じさせる要因の一部は,糖尿病患者の腎臓,糸球体内で血管を拡張させる因子と弛緩させる因子の間の不均衡だと考えられます。従来,われわれが着目していた収縮因子,つまり輸出細動脈の抵抗性を増大させる主要因子はRASのアンジオテンシンⅡでしたが,現在はエンドセリン-1,トロンボキサンA2,活性酸素なども知られています(図2)7)。また,アンジオテンシン系でもアンジオテンシン(1-7)のように輸入細動脈の抵抗性を減少させる弛緩因子に属する物質も見つかっています。したがって,DKDの進行を抑制するためには,糸球体内の圧力が増大する過程を阻止する必要があります。

図2

糖尿病における糸球体内圧に関係する因子

糖尿病における糸球体内圧に関係する因子

(文献7より引用)

深水糖尿病に合併する腎症では腎臓の腫大を認めることがあります。腎臓の大部分は尿細管領域が占め,糸球体領域は10%程度ですが,腎臓が腫大するメカニズムについてはどのように考えていますか。

Cooper病理学的な視点からは糸球体肥大が重要ですが,糖尿病による腎臓の腫大は糸球体と尿細管の両領域で起こりえます。

深水私は腎臓のうっ血も腎腫大に関与している可能性があると思っています。

Cooperそれは良い指摘だと思います。おそらく基質,尿細管など腎臓全体の細胞の成長により腫大すると考えられますが,間質液の増加,浮腫も伴っているでしょう。

  • 7) Tonneijck L, Muskiet MH, Smits MM, et al. Glomerular Hyperfiltration in Diabetes: Mechanisms, Clinical Significance, and Treatment. J Am Soc Nephrol. 2017;28:1023-39.
PC
2020年4月作成