トラゼンタ 製品紹介:コンテンツ一覧対談「腎機能を考慮した糖尿病診療(Cooper先生×深水圭先生)」

腎機能を考慮した糖尿病診療

DPP-4阻害薬リナグリプチンの有用性および利便性

深水2型糖尿病患者に対する血糖コントロールに関して,日本ではDPP-4阻害薬が多く使われています。DPP-4阻害薬の役割についてご意見をお聞かせください。

Cooper日本ではDPP-4阻害薬の特に安全性が重要視されているように感じます。メトホルミン,SU薬,チアゾリジン薬と同程度の有効性を持ちながら,有害事象が少ないことが多く使用されている理由だと思いますが,その他にも,何種類もの薬剤を服用する高齢の患者にとって服用回数の少ない薬剤は利便性が高いです。低血糖は転倒や骨折につながるおそれがあり,低血糖を回避するよう注意することが重要です。

深水腎機能が低下している症例に対する使用についてはいかがでしょうか。

Cooper抗糖尿病薬に限らず,腎機能低下例に使用する際には,患者の状態に合わせて用量を調節する必要がある薬剤も多くあります。DPP-4阻害薬に関していえば,リナグリプチンは主に胆汁から未変化体のまま排泄されるため,GFRが低くても蓄積しにくく,1日1回1錠5mgで使用することができます。

深水日本人2型糖尿病患者さんを対象に,eGFR区分により3群に層別化してリナグリプチンのHbA1c低下作用を検討したデータ12)では,リナグリプチンは腎機能の程度にかかわらず一貫したHbA1c低下作用が認められています(図5,図6)
 本試験の有害事象は,G1 ~ G2群では単独投与で25%(11/44例),追加投与で23%(14/60例),G3a群では単独投与で29%(5/17例),追加投与で21%(6/29例),G3b ~G5群では単独投与で42%(14/33例),追加投与で36%(12/33例)に発現しました(表1)
 主な有害事象は消化管障害で,G1 ~ G2群の単独投与で2例,G3a群の単独投与で1例,G3b ~ G5群の単独投与で3例に認められました。投与中止に至った有害事象は,全体で2.8%(6例)に発現し,めまい,胆嚢炎,肺炎,下痢,突然死,肺炎による死亡がそれぞれ1例ずつでした。

図5

正常および軽度/重度の腎機能低下患者におけるリナグリプチンの血糖降下作用の比較
試験概要

目  的:
日本人2型糖尿病患者におけるリナグリプチン投与開始後6ヵ月の臨床経過を腎機能別に検討する。
対  象:
リナグリプチン5mgを1日1回投与している日本人2型糖尿病患者216例(有効性評価対象145例:単独投与73例、追加投与72例)
方  法:
対象患者をGFR区分に基づき腎機能別に3群に分け、リナグリプチンの単独投与または追加投与時の臨床パラメータについて後ろ向き観察研究を行った。
評価項目:
腎機能別のHbA1cの変化、HbA1c 7%未満達成割合、有効性評価対象集団における投与開始6ヵ月のHbA1c変化量とベースラインでの臨床パラメータの関係、有害事象(本論文中に主要評価項目等の設定の記載はない)
解析計画:
HbA1cのベースラインとの比較には対応のある t検定を用いた。

(文献12より引用)

図6

正常および軽度/重度の腎機能低下患者におけるリナグリプチンの血糖降下作用の比較:投与24週時・単独投与
リナグリプチンのHbA1c変化量:腎機能別

正常および軽度/重度の腎機能低下患者におけるリナグリプチンの血糖降下作用の比較:投与24週時・単独投与リナグリプチンのHbA1c変化量:腎機能別

平均値
*P<0.01 各群毎の投与開始6ヵ月後vs. ベースライン(対応のあるt検定)

(文献12より作図)

表1

正常および軽度/重度の腎機能低下患者におけるリナグリプチンの血糖降下作用の比較
安全性

主な有害事象は消化管障害で、G1正常~G2軽度低下群の単独投与で2例、G3a軽度~中等度低下群の単独投与で1例、G3b中等度~G5末期腎不全群の単独投与で3例に認められた。
投与中止に至った有害事象は全体で6例(2. 8%)に発現し、めまい、胆嚢炎、肺炎、下痢、突然死、肺炎による死亡であった。

正常および軽度/重度の腎機能低下患者におけるリナグリプチンの血糖降下作用の比較安全性

(文献12より引用)

  • 12)Ito H, Abe M, Antoku S, et al. Comparison of the antidiabetic effects of linagliptin among groups with a normal renal function and a mild or severe renal impairment - retrospective observation study of Japanese patients with type 2 diabetes mellitus. Expert Opin Pharmacother. 2015;16(3):289-96.
  • ※ 著者に日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社・日本イーライリリー株式会社より講演料を受領している者が含まれます。
PC
2020年4月作成