トラゼンタ 製品紹介:コンテンツ一覧第4回 エビデンスに基づいた2型糖尿病治療の薬剤選択

<< コンテンツ一覧へ戻る

綿田先生に問う 2型糖尿病治療の今とシンプルなトラゼンタ 第4回 エビデンスに基づいた
2型糖尿病治療の薬剤選択

厚生労働省の調査によると、2017年の糖尿病の通院患者数は前回調査と比較して約12.3万人増加し328.9万人となり、日本は世界でも有数の糖尿病大国であると言えます。しかしながらこれまでの糖尿病の大規模臨床試験の多くは欧米を中心に行われており、アジア系、特に東アジア人に関する研究は限定的です。

2型糖尿病の病態や合併症には人種差が認められるため、欧米のエビデンスが日本人にも当てはめられるかは明確ではありません。そこで本日は、順天堂大学大学院医学研究科 代謝内分泌内科学教授である綿田裕孝先生に「日本人2型糖尿病患者さんの病態と最新の研究結果」についてお伺いいたします。

写真

ご監修・出演
綿田 裕孝先生

順天堂大学大学院医学研究科
代謝内分泌内科学 教授

厚生労働省の調査によると、2017年の糖尿病の通院患者数は前回調査と比較して約12.3万人増加し328.9万人となり、日本は世界でも有数の糖尿病大国であると言えます。しかしながらこれまでの糖尿病の大規模臨床試験の多くは欧米を中心に行われており、アジア系、特に東アジア人に関する研究は限定的です。

2型糖尿病の病態や合併症には人種差が認められるため、欧米のエビデンスが日本人にも当てはめられるかは明確ではありません。そこで本日は、順天堂大学大学院医学研究科 代謝内分泌内科学教授である綿田裕孝先生に「日本人2型糖尿病患者さんの病態と最新の研究結果」についてお伺いいたします。

2型糖尿病の成因

Q2型糖尿病の病態に関して、欧米と日本の患者さんではどのような点が異なるのでしょうか。
A2型糖尿病とは、血糖値を下げるホルモンであるインスリンを分泌する膵β細胞機能不全による「インスリン分泌不全」と、インスリンが作用する臓器においてインスリン感受性の低下する「インスリン抵抗性」のために、血糖値が上昇する病気です。
肥満などによりインスリン抵抗性が高まると、代償的に膵β細胞からのインスリン分泌が亢進しますが、それが続くと膵β細胞が疲弊してしまい、機能不全が生じます。
糖尿病の病態には人種差があり、欧米人に比べ東アジア人はインスリン分泌能が低いといわれています*。そのため、少なくとも一部の患者さんでは軽度の肥満であってもインスリンの作用不足に陥り、糖尿病を発症しやすいことが示されています。日本人の2型糖尿病の治療においては、インスリン分泌能が低下しやすい特性を考える必要があります。
*日本糖尿病学会編・著:糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第7版, 2017:P31, 66-70, 診断と治療社

早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

Qインスリン分泌不全に関して、詳しくお話しいただけないでしょうか。
Aβ細胞機能の観点からいうと、患者さんが2型糖尿病と診断された時点でβ細胞機能はすでに正常の50%前後まで低下しており、その後も年間約4%の割合で機能が低下していくと考えられています。
膵β細胞は加齢とともに徐々に減少していきますが、高血糖が慢性的に続くとさらに悪影響を及ぼし、機能不全が進行します。
β細胞を保護するためにも、食事・運動療法、そして必要に応じて薬物療法を導入し、早期から良好な血糖コントロールを継続することが大切です。

DPP-4阻害薬の臨床効果

Q実際の薬物療法に関して、日本ではDPP-4阻害薬が多く使われていますね。
A血糖コントロールを継続していくにあたって、優れた血糖降下作用と低血糖や体重増加を来しにくいDPP-4阻害薬は良い選択肢のひとつです。DPP-4阻害薬はアジア人では、非アジア人に比べより有効である可能性が示唆されています。

こちらは日本人2型糖尿病患者さんを対象にトラゼンタのHbA1c低下作用を検討したデータです。
ご存知のとおりトラゼンタは唯一の胆汁排泄型 DPP-4阻害薬であり、患者背景に関わらず5mgでシンプルに使用できるのが特徴です。
このデータでも対象患者さんをeGFR区分に基づき3群に層別し、有効性をみています。
その結果、トラゼンタは腎機能の程度にかかわらず一貫したHbA1c低下作用が認められました。

なお、本試験の有害事象は、G1~G2群では単独投与で25%(11/44例)、追加投与で23%(14/60例)、G3a群では単独投与で29%(5/17例)、追加投与で21%(6/29例)、G3b~G5群では単独投与で42%(14/33例)、追加投与で36%(12/33例)に発現しました。
主な有害事象は消化管障害で、G1~G2群の単独投与で2例、G3a群の単独投与で1例、G3b~G5群の単独投与で3例に認められました。投与中止に至った有害事象は、全体で2.8%(6例)に発現し、めまい、胆嚢炎、肺炎、下痢、突然死、肺炎による死亡がそれぞれ1例ずつでした。

CARMELINA試験アジア人解析

Q綿田先生はDPP-4阻害薬の大規模臨床試験のアジア人解析を発表されていますね。
Aこのたびわれわれは、トラゼンタを用いたCARMELINA試験のアジア人解析に関して報告いたしました。
CARMELINA試験は心血管に加えて腎イベントリスクの高い2型糖尿病患者さんを対象とした試験で、幅広い腎機能ステージの患者さんが組み入れられている事が特徴的です。そういった患者さんにおける心血管および腎イベントへのトラゼンタの安全性を確認しています。

今回、われわれは、全体の約8%(555名)にあたるアジア人を対象としてサブグループ解析を行いました。
A患者背景を全体集団と比較すると、アジア人の方がBMIが低いことと、UACRが低い傾向にありました。BMIに関しては、先ほど軽度の肥満でも2型糖尿病の発症につながること、アジア人患者ではDPP-4阻害薬が有効であると申しあげたことと一致すると思います。
A解析の結果ですが、主要評価項目である3P-MACEの発現は、トラゼンタ群で29例(10.7%)、プラセボ群で33例(11.7%)が報告され、幅広い腎機能ステージの患者さんにおいても心血管イベントのリスクを増やさなかったとする全体集団と一貫した結果が得られました。
重要な副次評価項目である腎複合エンドポイントにおいても同様に、アジア人においてトラゼンタ群とプラセボ群では腎イベントの発現数に有意な差は認められませんでした。

心不全による入院に関しては、アジア人においてはHR (95% CI)が0.47 (0.24-0.95)という結果でした。
  • 心血管イベント(1) + 主な評価項目:心血管イベント関連アウトカム(1)アジア人サブグループ解析
  • 腎および細小血管イベント + 主な評価項目:腎および細小血管イベント関連アウトカム アジア人サブグループ解析
  • 心血管イベント(2) + 主な評価項目:心血管イベント関連アウトカム(2)アジア人サブグループ解析
A主な有害事象として、腎および尿路障害(トラゼンタ群:5.9%、プラセボ群:4.6%)および便秘(トラゼンタ群:5.5%、プラセボ群:6.7%)の発現が認められました。
また、低血糖(トラゼンタ群30.15%、プラセボ群32.86%)、重症低血糖(トラゼンタ群10.66%、プラセボ群13.07%)の発現が認められています。

実臨床における有用性

Qアジア人解析が行われた意義について教えてください。
Aこれまでに数々の糖尿病治療薬の大規模臨床試験が行われてきましたが、アジア人のサブグループ解析が報告された例は限られています。
今回、CARMELINA試験のアジア人解析でリナグリプチンの心血管および腎イベントへの安全性がDPP-4阻害薬で初めて示されたことは大変意義深いことですし、日常診療で多くDPP-4阻害薬を使われている先生方にとっても安心できるデータではないでしょうか。
もちろん他の製剤、例えばEMPA-REG OUTCOMEでもアジア人解析が報告されていますが、糖尿病治療は複数の薬剤を組み合わせて使用することが多いため、心血管への安全性がエビデンスとして検証されていることがクラス内の選択の上で重要になってくるでしょう。

最後に

綿田先生、ありがとうございました。

トラゼンタは、新規に薬物療法を開始される患者さんをはじめ幅広い2型糖尿病患者さんにおいて、1日1回1錠5mgでシンプルな治療が可能な薬剤です。糖尿病治療の選択肢として、トラゼンタをご検討いただければ幸いです。

2型糖尿病の発症機序

2型糖尿病歴と膵β細胞機能低下

正常および軽度/重度の腎機能低下患者におけるリナグリプチンの血糖降下作用の比較 試験概要

正常および軽度/重度の腎機能低下患者におけるリナグリプチンの血糖降下作用の比較:投与24週時・単独投与 リナグリプチンのHbA1c変化量:腎機能別

正常および軽度/重度の腎機能低下患者におけるリナグリプチンの血糖降下作用の比較 安全性

試験デザインおよび主要・重要な副次評価項目

その他の評価項目

患者拝啓(1) アジア人サブグループ解析

主な評価項目:心血管イベント関連アウトカム(1)アジア人サブグループ解析

主な評価項目:腎および細小血管イベント関連アウトカム アジア人サブグループ解析

主な評価項目:心血管イベント関連アウトカム(2)アジア人サブグループ解析

有害事象a アジア人サブグループ解析

2つの大規模臨床試験 CARMELINA / CAROLINA