医療サポート事例:地域医療戦略

「医師会主導でパス作成」が連携成功のカギ
在宅医療“四日市モデル”の極意とは

笹川内科胃腸科クリニック
山中賢治院長

笹川内科胃腸科クリニック 山中賢治院長

高齢化が本格進展する2025年を見据え、三重県四日市市では、開業医と、基幹病院や介護関係者の連携が進んでいます。
市内や周辺には、大学の系列が異なる急性期病院が複数ありますが、そうした枠を超えて手を取り合い、開業医がフォローし合う体制が実現。在宅医療や介護を含めて機能分化が進んだことでサービスを円滑に提供できるようになり、地域医療の効率化が実現したといいます。
連携の仕掛け人は、四日市医師会の副会長であり、自らも在宅医療に取り組む笹川内科胃腸科クリニック(三重県四日市市)の山中賢治院長です。
地域医療連携の“四日市モデル”を作り上げるうえでは、市医師会の役割が非常に大きかったと山中院長は感じています。
成功のポイントは何なのか?山中院長に教えていただきました。

この記事のキーワード

地域の高齢化/在宅医療/機能強化型在宅療養支援診療所/地域連携パス/診診連携/医療介護連携/在宅看取り/かかりつけ医機能の評価

1.病診連携に取り組んだ背景

──基幹病院を巻き込んだ医療連携が四日市市内で広がった背景についてお聞かせください。

きっかけは、2004年からスタートした新医師臨床研修制度でした。これにより研修医の医局離れが全国に広がり、全国の大学病院が派遣先の地方病院から医師を引き揚げ始めました。ここ三重県でもご多分に漏れず勤務医不足が深刻化し、地方病院に残された医師たちが疲弊していました。

笹川内科胃腸科クリニック 山中賢治院長

わたしが四日市医師会の理事に就任したのは06年。当時の会長から、「訪問看護の整備と病診連携を進めてほしい」と指示を受けました。そのときにまず考えたのは、「かかりつけ医」として我々は何をすべきか、ということです。行き着いたのは大きく2つ。1つ目は、勤務医が入院患者さんの対応に専念できるよう、開業医が外来をカバーすること。2つ目は入院患者さんの在宅復帰を進めるための体制構築です。病院が満床では救急医療にも対応できないので、退院できる患者さんを、我々開業医ができるだけ早く在宅で引き受けることを目指しました。
開業医の多くは勤務医を経験しているため、病院側の事情は理解できています。一方で、在宅医療は学問的な体系もなく、経験している立場でなければ理解しづらい面があります。そこで、勤務医に我々の事情に合わせてもらうのではなく、我々が勤務医の事情に合わせるスタンスを基本に連携を進めました。

──具体的にどのようなことから始めたのでしょうか。

まず取り組んだのは、地域の開業医が対応可能な医療処置をリストアップして、市内の病院に配布することでした。それ以前にも同様のリストはありましたが、あまり活用されていませんでした。開業医ごとに対応可能な医療処置などをまとめてあるはずなのに、病院側がそのリストをもとに逆紹介しようとして断られるケースが相次いでいたからです。以前のリストは、開業医にアンケートを取った際、アンケートの尋ね方が悪く、実態と乖離していたのです。「この医療処置はできるか」と聞くと、たいていは「できる」と答えるためです。
そこで、あらためて行ったアンケートでは、病院から逆紹介があった場合に実際に対応できるかどうかの視点で答えてほしいと開業医に念を押したところ、かなり正確なデータを集めることができました。
そのほか、地域連携パスの構築、在宅医療のノウハウを共有するための研究会発足、病院の地域連携室の連絡会議への参加、地域の多職種が参加する「医療介護ネットワーク会議」の立ち上げ、脳卒中の在宅医療推進部会の設置など、さまざまな取り組みを行ってきました。

2.地域連携パス作成のポイント

地域連携パスの作成には、2つの目的がありました。1つは、専門外の領域に対する不安の払拭です。専門医は患者さんを任せられるのか不安を感じますし、開業医は自分の専門外の領域には不安を覚えるでしょう。そうしたことから、地域の医療機関が共通でカバーすべき最低限のことを記載する形式としました。

笹川内科胃腸科クリニック 山中賢治院長

もう1つは、四日市地域で統一された地域連携パスの作成です。市内には急性期の基幹病院が4施設ありますが、三重県立総合医療センターは三重大、市立四日市病院は名古屋大と、異なる系列です。系列の異なる大学は治療方針すら異なり、例えば、心筋梗塞の患者さんに対して使用する薬物やカテーテルのタイミングも医局の方針によってばらばらです。
国は2006年度の診療報酬改定でまず大腿骨頸部骨折の地域連携パスを、2年後の08年度には脳卒中のパスをそれぞれ評価しました。点数が付くと医療現場が一気に動き出すのが常ですが、地域の病院それぞれがパスを作成することになれば、いずれ対象疾患が広がった際、ものすごい数のパスができあがることになります。さまざまな症例をカバーする我々開業医は、それらすべてに対応しなくてはならないでしょう。そうなる前に手を打つ必要があるという危機感があったのです。

──統一の地域連携パス作成は円滑に進みましたか。

「書式や記載方法を統一して共通のパスを作成しよう」と四日市医師会主導で、基幹病院4施設に呼び掛けました。すると、実際のパス作成プロセスでは、顔の見える関係づくりが非常にうまく進んだのです。それまでライバル関係にあったはずの病院同士の連携も実現しました。どのように進めていったのかというと、まず、四日市医師会から病院の地域連携室に依頼し、ワーキンググループのメンバーを診療科ごとに選出してもらいました。その際は、「あまり地位が高すぎず、働き盛りの専門医の先生を」とお願いしました。次に、その先生に、すでにうまく連携がとれている同じ診療科の元専門医の開業医を選出してもらったのです。その際は、専門医と開業医の数が同じになるようにしました。
また、パスのひな形は開業医が作り、各病院から意見を募る形を取りました。病院の専門医にパスのひな形を作ってもらうと、病院対病院の主導権争いに陥りがちですが、元専門医の開業医が作ったひな形に対しては病院側も建設的な意見を言いやすいようでした。

──どのような地域連携パスを作成されたのですか。

これまでに作成したパスは、急性期から維持期まで一方向に流れる「すごろく型」と、状況に応じて患者さんが病院や開業医を行ったり来たりする「循環型」の2つのタイプの全12種類。「すごろく型」は脳卒中や大腿骨頸部骨折、「循環型」はがん(胃がん、大腸がん、肺がん、肝がん、乳がん)や糖尿病、心筋梗塞などが対象で(図1)、各病院の専門医や開業医らによる10のワーキンググループで具体化を進めました。

図1 地域連携パスの作成による連携

図1 地域連携パスの作成による連携

(資料:山中 賢治 先生 ご提供)

3. 診診連携を進めた背景

──在宅医療研究会はいつ頃立ち上げたのでしょうか。

2007年です。我々開業医はそれまで、それぞれ単独で在宅医療に取り組んでいましたが、自分一人でカバーできる患者さんの人数には限界があり、高齢化が本格進展する2025年に向けてニーズが増えても対応し切れないだろうという危機感を皆、感じていました。そこで、在宅医療の勉強会を通じて診診連携を進めようと、5人の開業医が中心となって地域に呼び掛けました。
1回目の勉強会が開かれたのはこの年の5月のことで、18年6月には66回目を迎えました。現在では毎回30人以上が参加しています。

──研究会ではどのようなことを話し合うのですか。

1回目は、往診カバンの中身がテーマでした。在宅医療に関わる医師は、試行錯誤しながらそれぞれ我流でノウハウを積み上げます。当然、往診や訪問診療に持って行く道具もばらばらであり、持って行くと便利なものなどを含めて情報交換しました。同研究会ではテーマごとに、処置のコツや保険点数の取り方までさまざまな情報が共有され、在宅医療に興味がある若手の先生が学ぶ機会にもなっています。
これまで、胃ろうや褥そうケア、在宅リハビリテーションなどさまざまなテーマを取り上げており(図2)、各回、その領域に明るい医師やコメディカルが講師を名乗り出て、自由に意見が飛び交うなかで進められています。

図2 「在宅医療研究会」のこれまでのテーマ

図2 「在宅医療研究会」のこれまでのテーマ

(資料:山中 賢治 先生 ご提供)

開業医同士の連携も進み、市内には現在、機能強化型の在宅療養支援診療所(在支診)の連携型が3グループ、単独型が1カ所あります。2012年度の診療報酬改定で連携型の機能強化型在支診が創設されたのを受けて四日市医師会が呼び掛けたのがきっかけです。単独で在宅医療を提供していた頃は、医師1人でカバーできる患者数はせいぜい10~20人程度。特に、末期がんの患者さんが複数いると、学会などで地域を離れるときには、ほかの在宅医に留守中の対応をお願いしなくてはならず大変でした。今は末期がんの患者さんも含めて常時40人ほどを診ていますが、積極的に学会に出掛け情報収集できるようになりました。

※在宅療養支援診療所(在支診):在宅療養する患者のために、往診や訪問診療を24時間365日体制で提供する診療所のこと。「機能強化型在宅療養支援診療所」は、複数の医師・医療機関の連携によって在支診の要件を満たすことが認められた施設で、単独型は診療所単独で、連携型はほかの在支診と連携して往診の体制を整えていること、と分類されている。

4. 成功する診診連携とは

──診診連携を成功させるポイントは何でしょうか。

地域の開業医の間で厳密な当番制を組んでしまうと、拘束感が大きいからか、うまくいかないことが多いようです。それによって医師が一人、二人と当番から抜けてしまえば残った医師の負担が増え、解散に追い込まれるケースも出てくるでしょう。
四日市地域では、自分の患者さんは看取りを含めて原則自分で診るルールです。学会参加などで診られない場合はグループに申し送りをして代わりを依頼し、患者さんやご家族にもその旨を説明します。しかし、実際に代理で看取ったケースは、12年のグループの創設以来、全体で10件未満です。
わたしは現在、年間20人程度の患者さんを在宅で看取っています。一人で対応していたときには「これ以上は自分の首を締めかねない」と新規の受け入れをためらう場面も多かったのですが、グループで対応する形になり、いざというときのバックアップがあるので負担感はほとんどありません。そのため、病院や患者さんから依頼があれば全てお引き受けしています。

──「医療介護ネットワーク会議」の取り組みについて教えてください。

市からの呼び掛けをきっかけに2008年に立ち上げました。現在では市内を「きた」「なか」「みなみ」の地域に分け、医師会、薬剤師会、歯科医師会、訪問看護ステーションの各代表が世話人としてそれぞれの会議を運営しています。わたしが世話人を務める「みなみ地域」では、医療や介護関係者らが毎回120人程度集まり、数グループに分かれてテーブルを囲んでいます。
最初の1年間は、脳卒中をテーマに、講義と、架空の症例を使ってディスカッションするグループワークをおこないました。薬剤師会や歯科医師会に依頼した講師は、「見ているだけではつまらないから」と積極的にディスカッションに加わり、それぞれの視点でアドバイスをしてくださいました。介護分野のスタッフからは、場面に応じて利用できる介護制度の提案など、それぞれの専門分野から提案が飛び出します。
当初は、医療の専門職が介護現場の皆さんに医療のことを伝えるという趣旨の企画でしたが、実際に始めてみると、互いに教え合う場となっていました。1つの症例に対してさまざまな分野の専門家がそれぞれの視点に立ってベストな方法を考えるので、我々開業医が気付かないことだらけ。それは非常に面白く刺激的で、多職種連携の醍醐味を体感できる有意義な場となっています。

5.地域医療連携の推進がもたらす効果

──医療機関や介護施設との連携が進んだことでどのような効果が生まれていますか。

1つは、市内の救急搬送の受け入れが円滑になりました。救急車の出動件数や救急搬送人員は近年、横ばいですが、かつて年間6~7%ほどであった地域外への搬送割合は、最近では4%台です。退院可能な患者さんの在宅への移行が進み、急性期病院がベッドを確保できるようになったためでしょう。
もう1つ、市立四日市病院のデータを見ると、マニュアルを作って退院時カンファレンスをスタートさせた2007年頃から在宅医療に移行する患者さんの数が増え始め、それと反比例して平均在院日数が減っています(図3)。死亡退院の件数は06年度の645件に対し、14年度は473件(図4)。死因別では、がんでの死亡退院の減少が目立ちます。特に16年度には、大腸がんでの死亡退院はゼロでした。

図3 市立四日市病院における在宅医療への移行支援件数

図3 市立四日市病院における在宅医療への移行支援件数

(資料:山中 賢治 先生 ご提供)

図4 市立四日市病院における年間死亡退院数および割合

図4 市立四日市病院における年間死亡退院数および割合

(資料:山中 賢治 先生 ご提供)

6.2018年度診療報酬改定の捉え方

──2018年度診療報酬改定は、地域の在宅医療にとって追い風になりましたか。

追い風にはなったと思います。例えば、かかりつけ医機能を持つ医療機関のより的確で質の高い診療機能を評価する「機能強化加算」「地域包括診療料」「地域包括診療加算」などは追い風と考えますが、施設基準の届け出が必要であるため算定のハードルが高いと言われています。いずれも当院ではこれまで普通にやっていたことでしたので届け出をしており、この加算は地域の多くの先生方も届け出ています。

──これまで取り組んでいたことが今回評価されたということですね。

はい。診療報酬で点数が付いたから始めようということではなく、必要性にかられて取り組んでいたことが幸いにも評価されたという印象です。こうしたインセンティブは国の施策として進めたい方向性を表すものであり、インセンティブをつけることによってある程度整備が進めば、はしごが外されるのが常。点数を後追いして取り組み始めたものの、はしごが外されたら大きな失望感を抱くと思いますが、われわれは、「もともと取り組んでいたことに対して、今はたまたま点数が付いている」と受け止めています。

──かかりつけ医の在宅医療を評価する地域包括診療料や地域包括診療加算も大きく見直されました。

当院では地域包括診療加算1を届け出ました。包括診療料と包括診療加算は施設基準が同じであるのに、包括診療料は点数が高く患者さんの負担が大き過ぎます。包括診療料の届け出が広がらないのは、在宅医療への対応や、常勤医師の配置要件がハードルになっているからだと国は捉えているようですが、それだけではなく、高過ぎる点数も原因の1つでしょう。

──業務負担増への不安も大きいようです。

「24時間365日対応」は大きな負担になるのではないかと二の足を踏む施設はあるでしょう。しかし、実際に始めてみると分かりますが、患者さんからの緊急呼び出しはそれほど多くはなく、当院でも月に3回程度です。患者さんの病状を普段から把握していると、病状が変わりそうなタイミングの予測が付きます。そのため呼び出しがあっても慌てることはないし、心配であればご家族にあらかじめ連絡し、先手を打って早めに訪問することもできるでしょう。このようにすれば夜中に慌てて対応しなくて済みます。
不安を感じるのも無理はありませんが、高齢化がこれだけ進めば、もはや診療所で患者さんを待つ時代ではありません。通院すらできない患者さんがこれから一層増えるわけですから。

──“待ちのスタンス”はもう限界ということでしょうか。

要は、地域のニーズにこちらからアプローチする必要があるということです。それには、地域のニーズをまずアセスメントしなくてはなりません。そのうえで、地域を見渡して医療資源の種類と量を把握し、自院の役割と対応の可否を見極める。目的を見失わず、地域に必要なサービスをしっかり提供していれば必ず点数は付いてくるので、心配することはないでしょう。

笹川内科胃腸科クリニック 山中賢治院長

取材の裏話・・・

インタビュアー
インタビュアー:患者さんご家族に向けた、在宅での看取りに関する冊子「旅立ちに向けて」をつくられたそうですね。この冊子について教えてください。
笹川内科胃腸科クリニック 山中賢治院長
山中先生:四日市市と作成ワーキングチームを立ち上げ、2012年度に完成しました。2部構成の前半には、どのようなプロセスを経て人が亡くなるのか、おおよその時間経過の目安別にまとめています。後半には、患者さんが亡くなった後に必要となる諸手続きの仕方をまとめました。冊子はこれまで、市内の医療機関や訪問看護ステーション、介護施設で配布してきました。
インタビュアー
インタビュアー:必要な情報でありながら、誰に聞いたらよいのかも悩んでしまうような内容が盛り込まれていますね。
笹川内科胃腸科クリニック 山中賢治院長
山中先生:はい。恐らく、多くの人が「人の死を看取ること」に慣れていません。ご家族が自宅で看取りに臨んだ際の不安を取り除けるような情報や、あらかじめ知っておいたほうがよい情報を盛り込みました。例えば、生前に「この口座のお金を降ろして葬式を出してほしい」と言われていたとしても、亡くなった後にいざ銀行へ行っても口座が凍結されており、相続手続きが終了するまでは下ろせない。事前に知っておかないと困る手続きが意外とたくさんあるんです。
本当は、我々が早めにアドバイスしたらよいのでしょうが、実際には難しい。
インタビュアー
インタビュアー:大切なご家族が亡くなった後の話を生前にするのは不謹慎だと捉えられそうです。
笹川内科胃腸科クリニック 山中賢治院長
山中先生:その通りなんです。冊子の前半も後半も、とても大切な内容ですが、2冊に分けてしまうと後半を渡すタイミングが非常に難しいので、1冊にまとめました。患者さんやご家族が在宅での看取りに臨む際に、役立てていただけると思います。
旅立ちに向けて
平成24年度 四日市市安心の地域医療検討委員会
「旅立ちに向けて」作成ワーキング
事務局:四日市市保健所 健康福祉課

(平成30年5月24日のインタビューより)

【解説】地域包括診療料等の見直し

―厚生労働省 中医協の議論などをもとに㈱医薬情報ネットが作成―

かかりつけ医の普及・在宅参入をてこ入れ
包括診療料など2区分に、医師配置要件など緩和

2018年度診療報酬改定では、かかりつけ医機能への評価と位置付けられている地域包括診療料などの報酬の見直しが焦点の1つとなりました。かかりつけ医による在宅医療への新規参入を促すため、厚生労働省は、これらの点数を2区分に再編し、点数の高い「診療料1」や「加算1」の施設基準に、外来から訪問診療への患者の移行を促す要件を追加。一方で、診療所がこれらを届け出る際の常勤医師の配置などに関する要件を緩和しました。

かかりつけ医機能への評価と厚生労働省が位置付ける報酬のうち、18年度の改定で再編されたのは、地域包括診療料と地域包括診療加算のほか、16年度に新設された認知症地域包括診療料と認知症地域包括診療加算です。

14年度に新設された地域包括診療料は診療所と200床未満の中小病院が、地域包括診療加算は診療所のみが算定できるもので、いずれも「高血圧症」「糖尿病」「脂質異常症」「認知症」のうち複数の疾患を抱える患者さん(疑いは除く)が対象です。
これらの患者さんへの継続的・全人的な医療の提供を促進させる狙いでしたが、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬改定結果検証部会の16年度の調査では、地域包括診療料を届け出ているのは、病院(有効回答があった150カ所)の4.0%、有床診療所(同98カ所)の23.5%、無床診療所(同417カ所)の13.4%と、いずれも3割に届きませんでした。こうしたなか、18年度診療報酬改定の基本方針で、かかりつけ医機能の普及促進など「医療機能の分化・強化、連携の推進」が重点課題とされた経緯があります。

地域包括診療料の見直し後の点数は、「診療料1」が1,560点、「診療料2」が見直し前と同じ1,503点。このうち診療料1を算定するには、その医療機関による継続的な外来診療を経て訪問診療・往診に移行した患者数を、「年10人以上」にする必要があります。
これらの報酬を算定するには従来、「常勤医師2人以上」の配置が必要でしたが、18年度の改定では、診療所が届け出る場合は「常勤換算で2人以上の医師のうち1人以上が常勤医」に緩和されました。

一連の見直しによって届け出がどれだけ進むか、中医協の検証部会が18年度と19年度に調査することとなっています。

図 地域包括診療料等の見直し

(厚生労働省 「2018年度診療報酬改定の概要 医科I」より)

PC
2018年7月作成